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『れいむが愛したれいむ』 7KB 小ネタ 番い 思いつき小ネタ 「おはようれいむ」 『おはようれいむ』 れいむはれいむのことが大好き、れいむもれいむのことが大好き。 二匹は仲睦まじく、立派な木の根っこの穴の洞窟のおうちに住んで、毎日をゆっくりと幸せに暮らしていました。 「かりにいってくるね」 『いってらっしゃい、るすはまかせてね』 揺れる真っ赤なリボン、つやつやの黒髪をなびかせてれいむはお外に元気に駆け出します。 ぽいんぽいんぽいん。 おうちを離れ、静かな森をしばらく跳ねていくとご近所さんと出会いました。 「れいむ!おはようだぜ!」 「きょうもげんきなんだねー、おはようだよー」 「ちーんぽ!がんばるみょん!」 皆それぞれ元気に挨拶をしてくれます。 「おはようみんな、きょうもごはんさんいっぱいとれるといいね、じゃあ、きをつけてね」 れいむもにっこりと笑って挨拶を返し、皆と別れて森の奥へと入っていきます。 それからゆっくりじっくり散策し、食べられるキノコさん、死んじゃった虫さん、美味しい葉っぱにあまあまな木の実。 たくさんほっぺに詰め込んで、日が傾いた頃、れいむは大好きなれいむの居るおうちに帰ります。 『おかえりれいむ、けがはない?』 「ただいまれいむ、だいじょうぶだよ!」 笑顔で迎えてくれるれいむに、れいむは微笑みを返し、 ほっぺに詰め込んだたくさんのご飯さんを大きな葉っぱのお皿の上に丁寧に吐き出します。 「きょうもいっぱいとれたよ!たくさんたべてね!」 『ありがとうれいむ、たくさんいっしょにむーしゃむーしゃしようね』 「うん!れいむもいっしょだね!」 『れいむもいっしょだよ』 むーしゃむーしゃ、しあわせー! 二匹は一緒にご飯を食べて、笑顔で今日の出来事を話し、ぴったりと寄り添って目を閉じ、幸せに浸りながらゆっくりと眠ります。 そして朝、れいむは狩りに、れいむは二匹の大事なおうちを守って、二匹はいつまでも仲良く幸せに暮らしました。 「こんばんわなのぜ」 ある日夜遅く、れいむのおうちに体格の良いまりさが訪ねてきました。 「どうしたの?」 れいむは眠たそうにしながら応対します。 「えと…その…」 まりさはれいむが現れると、もじもじとした後、おぼうしを器用にひっくり返して、 中から小さな可愛いお花を取り出し、れいむに差し出しました。 「ま!まりさはれいむがだいすきなのぜ!かりもできるしとってもかわいいし! まりさのおよめさんになってずっとずっといっしょにゆっくりしてほしいぜ!」 早口でそういって、まりさは頬を染めてぎゅっと目を閉じ、れいむの答えを待ちます。 まりさの口に咥えられ、夜風に揺れている花を見つめながら、れいむは困った顔で静かに口を開きました。 「…ごめんねまりさ、まりさのきもちはとってもうれしいけど、れいむにはたいせつなこがいるんだよ」 「そ…そんな…」 半開きになったまりさの口からぽろりと花がこぼれ落ちます。 まりさは告白が失敗したことがとっても悔しくて切なくて、両目一杯に涙をためて、ついにぽろぽろと泣き出してしまいました。 「え…えへへ、ご、ごめんのぜ!ばいばいだぜ!」 無理して笑顔を作ってから、まりさはれいむに背を向けて駆け出していきました。 れいむはそれを申し訳なさそうに見送り、ゆっくりと愛するれいむの元に戻ります。 『どうしたの?』 「ううん、なんでもないよ…」 ちょっぴり切ない気持ちになって、れいむはれいむと、れいむとれいむが出会った頃のお話をしながら目を閉じました。 「ねえれいむ、れいむはれいむのことだいすきだよ」 『ありがとうれいむ、れいむもれいむのことだいすき』 「れいむがれいむとけっこんっするのを、おとうさんとおかあさんははんたいしたね」 『だけどさいごはわかってくれたね』 ---だから殺した。 「れいむも、さいしょはれいむといっしょにせいかつするのをふあんにおもっていたよね」 『やっぱりまりさやちぇんのほうがかりはとくいだからね、でもやっぱりれいむがいちばんだから』 ---分かってくれないなら、分からせればいいんだ。 「さいしょのおちびちゃんはしんじゃって、とってもかなしかったね」 『でもつぎがあるよ、たくさんのおちびちゃんにかこまれてしあわせーになりたいね』 ---どうして潰しちゃうの?れいむはこんなにれいむが好きなのに。 「つらいこともかなしいこともいっぱいあったけど、いまはしあわせーだよ」 『これからもふたりはずっとずっといっしょだね』 ---どうしてご飯を食べてくれないの?どうしていっつも泣いてるの?どうしてれいむを好きっていってくれないの? どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして れいむはこんなにれいむがすきなのに。 でもれいむがれいむのことこんなにすきなんだから、れいむだってれいむのこといつかはすきになってくれるよね。 れいむがれいむのことすきなのは、ずっとずっと、ずっとずっとかわらないよ。 だかられいむはれいむがれいむのことすきになってくれるまで、ずっとずっとそばにいるからね。 はなれないよ、はなさないよ、ずっと、ずっとふたりはいっしょだよ。 それは二匹のれいむが出会ったとっても”幸せ”(不幸)な物語。 親の反対を”説得”(殺)して乗り越えて。 ”幸福”なれいむは”愛する”れいむと結ばれました。 ”幸福”(不幸)なれいむは”愛する”(していない)れいむと結ばれました。 二匹が願ったずっと一緒のゆっくりした日々は”夢のとおりに”(無理やりに)現実になったのです。 れいむの愛したれいむ、キラキラの大きなリボン、もちもちのほっぺた、愛らしい瞳、その笑顔。 「れいむ、れいむはれいむがだいすきだよ」 『れイむもれいムがだいスきだよ』 幸せなれいむ(の頭の中)に響く幸せな(声)---。 れいむはうっすらと目を開けて、幸せな表情で愛したれいむ(だったもの)を見つめます。 (大好きなれいむはれいむをうっとりと見つめ返します)。 月明かりに照らされる、綺麗なおりぼん(綺麗なお顔、綺麗な髪の毛、やさしい笑顔)。 「れいむはれいむとずっとずっといっしょだよ」 「レイムモレイムトズットズットイッショダヨ」 誓い合う二匹はいつまでもいつまでも笑顔で共に寄り添い、ゆっくりとした日々を過ごしました。 それはれいむを愛したれいむの幸福に満ち溢れた物語。 誓い合う(二匹)はいつまでもいつまでも笑顔で(共に)寄り添い、ゆっくりとした日々を過ごしました。 それは(れいむ)を愛したれいむの幸福に満ち溢れた物語。 おしまい。 ----------------------------------------- ご無沙汰しておりました、ばや汁です。 以前スレで初登校日は6月10日をいう書き込みをさせていただいたと思いましたが、 よくよく調べてみたところ、6月4日が第1作目のかみさま投稿日だということが判明いたしました。 本日は5月30日、ふと気付けば残すところ一週間を切ってしまっています。 もう一年もたったのか、と感慨深くもあり、あっという間の一年だったなというような気もします。 一周年以内に目指せ50作!と行きたい気持ちはあるのですが、なかなかキーボードを叩く目処がたっていないのが現状… スローペースになってしまうかもしれませんが、ゆっくりと、時には精一杯がんばりますので。 細々とした活動ではありますが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。 ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2949 野良れいむ anko3047 ぶろてん おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン anko3067 わけあり おまけ anko3078 げすまりさ anko3090 てのりれいむ anko3096 雨 anko3107 ゆかりん anko3114 命の価値 anko3125 ちるの時々まりさ anko3129 はるですよ 餡小話では消えてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。 挿絵:にとりあき]
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anko0600 腐 anko0601 ゆん殺! ~れいむ、殴られるの巻~ anko0602 駄目だよ? anko0603 ゆっくりしたモノの義務 anko0604 ドスの上手い活用法 anko0605 売れるゆっくりを開発せよ!! プロローグ anko0606 かりすま☆ふぁいたー anko0607 灼熱の冬 anko0608 ゆ anko0609 火の用心 anko0610 Run For Yukkuri ~逃走中~ anko0611 おかされいむ anko0612 俺とありすのゲーム anko0613 れいむと幸せを呼ぶ金バッジ anko0614 恐怖! ゆっくり怪人 anko0615 ネリアン anko0616 僕とさくやとおぜうさま anko0617 公認虐待 anko0618 サバイバル・ウィンター anko0619 てるよ anko0620 ゆっくりれいぱー anko0621 ゆっくりの電車 anko0623 てるよ2 ~俺と希少種と森と~ anko0624 元銀バッジまりさの末路 上 【挿絵】 anko0625 とてもゆっくりしたおうち 【挿絵】 anko0626 対決!? あんちれいぱーありす 【挿絵】 anko0627 対決!? ごきぶりくそぶくろ 【挿絵】 anko0628 犬 anko0629 ゆっくりした宝物 anko0631 シティ・リベンジャーズ 【挿絵】 anko0633 としあき博士のれいぱーありす矯正計画 anko0634 れいむ讃歌 anko0635 絶対的虐待意思 anko0637 無い頭を精一杯振絞って anko0638 川原の一家 anko0639 カマキリさんの卵でゆっくりするよ!! anko0640 ラストれいむロストホープ anko0641 換 anko0642 ゆんごく anko0643 地べたを這いずる饅頭の瞳に映る世界 anko0644 UOD anko0645 ぱちゅりーの奇妙な影響 anko0646 浮浪者とゆっくり anko0647 静かにゆっくりするよ!! anko0648 れいむのゆっくりを鬼意山にささぐ anko0649 元銀バッジまりさの末路 中 anko0650 モチモチを生かして anko0651 対決!? あかばえでいぶ 【挿絵】 anko0652 ゆっくリウム anko0653 変わらない 【挿絵】 anko0654 てんことれいむとフィーバーナイト 前編 anko0655 胴付きにしてやったぞ anko0657 食後の余韻 anko0658 真実を知るということ anko0659 てるよ3 ~俺と希少種と森と~ anko0660 ゆっくりごろしあぶらのじごく anko0661 ゴキブリ(前編) anko0662 ゴキブリ(後編) anko0663 ゆっくりこしていってね! anko0664 捕まりゆっくり anko0665 中枢餡 anko0666 てんことれいむとフィーバーナイト 後編 anko0667 なずーりんに祝福を 【挿絵】 anko0668 お母さんにプレゼントを 【挿絵】 anko0669 俺とてるよともこうとえーりんと~平穏な日々とゆっくり捕獲大会~ anko0670 エコを目指す加工所 anko0671 冬を越す為に 【挿絵】 anko0672 エリート虐待士三郎 第1話『超新星!エリート虐待士三郎登場!』 anko0674 赤ゆっくりには罰を anko0675 やくにたつ anko0676 共生する群れと草原のまりさ anko0677 ねとられいむ anko0678 俺の癒し系ペット anko0679 ゆっくりに関係する怖い話序幕 anko0680 ぎゃんぶらー anko0681 ゆっくりに関係する怖い話1話 anko0682 けがれなきゆっくりパーク anko0683 ゆっくりに関係する怖い話2話 anko0684 たった一つだけ叶った夢 【挿絵】 anko0685 俺とてるよともこうとえーりんとⅡ~ゆっくり捕獲大会~ anko0686 ゆっくりまりさの気まま旅 前編 anko0687 残酷な夜にれいむの叫びは鬼意山に届かない 【挿絵】 anko0688 ゆっくりに関係する怖い話3話 anko0689 静かにゆっくりできないよ!!(前編) anko0690 ビルディング・フォレスト 【挿絵】 anko0691 ゆっくりしたけりゃ余所へ行け anko0692 ゆっくりに関係する怖い話4話 anko0693 煙草とゆっくり anko0694 静かにゆっくりできないよ!!(後編) anko0695 バトル・プレイス anko0696 ピュアな心でゆっくりするよ!! anko0697 喋るな anko0698 ゆっくりに関係する怖い話5話
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『お風呂場のれいむ』 4KB 小ネタ 自業自得 飼いゆ 都会 現代 人間なし 独自設定 実験作の小ネタです こういった作風のものにも挑戦 実験作です。 れいむの思考だけで構成されています、実際は一部口に出していそうな感じですが。 今回は読み易さを考慮して漢字を使ってあります。 お風呂場のれいむ 今日はぽっかぽっか、れいむの心もぽっかぽか! お兄さんが用意してくれたごはんさんは美味しいね! れいむとってもゆっくりできるよ! ゆゆーん、なんだか眠くなってきちゃったよ。 ゆっくりねるよ……。 ゆっくりおやすみ……。 ゆゆっ! ゆっくりおきたよ! お日様さんも、傾いちゃってるね。 もうすぐお兄さんが帰ってくるよ! まだかな? まだかな? ゆうー……お兄さんが帰ってくるまで、つまんない、つまんないだよ。 そうだ、ゆっくりおうちの中を探検しよう! ゆんゆんゆん~♪ れいむのたんっけん楽しいなー! ゆ? お風呂場さんのドアが開いてるよ。 ゆわあ……お風呂場さんの窓さんから、まっかな、まっかな夕日さんが見えるよぉ! もっと近くにいくよ! ゆっくり! ゆっくり! ゆぅ~ん♪ 夕日さん、とってもきれいだよぉ……。 れいむ、もっと近くで見たいな。夕日さん、見たいな。 風呂桶さんの上からなら、もっとよく見えるのに。 ――ちょっとだけだよ、わるさするわけじゃないから、大丈夫だよね! ゆっゆっゆっ……、ゆわぁ、風呂桶さんは高い高いだよ。 届くかなあ……大丈夫かなあ……? ゆっ……くりっ! 飛び越えたよっ! れいむ、カンガルーさんみたいでごめんねっ! ゆ? お、おそらっ……! いたいよぉ……。お兄さん、蓋さんも閉め忘れてるよぉ……。 ゆっくり出るよっ! ――ゆべっ!? ゆううううう! お風呂の床さん、つるつるで、ぴょんぴょんできないよぉ……。 ゆうしょっ! ゆうしょっ! どぼぢで出られないの!? れいむ悪いことしてないのに! どうしよう、夕日さんが沈む頃に、お風呂さんのお湯が出てきちゃうよ。 それまでに、ここから出ないと、れいむ、溶けちゃうよ……。 ゆぅ……床さん、壁さん、意地悪しないでれいむを出してね……。 ゆっ、お湯さんが出てきたよ! やめてね! ゆっくりやめてね! ゆぅぅ! どぼぢでお湯さんいじわるするのおおお!? ゆっくり向こう側に逃げるよ! お湯さん! 来ないでね! 来ないでね! ――駄目だよぉ……。お湯さん止まってくれないよぉ……。 ごーくごーくするよ! ………………駄目だよ。お湯さん一杯すぎるよぉ……。 もう駄目だよぉ……。お兄さん、助けて。 れいむを助けて! 何でもいうこと聞きます! きちんと挨拶が出来るようになります! おねしょもしません! うんうんはちゃんと、おトイレでします! むーしゃむーしゃでお部屋も汚しません! ゆっくりフードも、それなりー! でいいです! 番が出来ても、勝手にすっきりー! したりしません! お兄さんにありがとうをいうのも忘れません! だから、れいむを助けて!!!!!!!!!! ――もう、あんよさんがぶよぶよだよ……。 れいむ、このまま死んじゃうのかな……? 何も、悪いことしてないのに。 お兄さんと、もっとゆっくりしたいのに。 そうだ……れいむ、お兄さんの言いつけを守ってなかったね。 お風呂さんに勝手に入っちゃったね。 ごめんね、お兄さん。 れいむ、悪い子だったね。 れいむがこうなったのも、悪い子だったからだね。 でも、叶うなら、お兄さんともっとゆっくりしたかったな。 ずっと、ずーっと、ゆっくりしたかったな。 れいむ、死にたくないな……。 死にたくない……。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 ――ごめんなさい。 過去の作品 anko2817 十字傷みょんの出逢い anko2813 ちぇんが敬遠される三つの理由 anko2795 ゆっくり◯◯の一日 anko2788 畑荒らしの正体 anko2785 ゆっくりとお正月を満喫しよう! anko2758 作ろう!ドスまりさ! anko2753 共生 anko2751 ゆっくり餅 anko2737 イヴの夜に anko2561 すぃーはゆっくりできない anko2516 読書の秋 anko2514 新発見、ゆっくりの新しい移動法 anko2504 冷凍ゆっくり anko2503 新たなエネルギー源 anko2501 胴付きになりたかったまりさ anko2498 日本を支える一大産業(本編) anko2495 一番多いゆっくりは コンバートあき 挿絵:○○あき
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・ちょっとチートっぽいアイテムが出ます。 ・既に誰かがやってそうなネタですが、ネタ被りが怖くてテンプレ作家がつとまりますかってんだちくしょうめぇ~ヒック!ごめんなさい ========== 【AM 8 00】 「それじゃあ、まりさはかりにいってくるのぜ!!」 「おとーさん! ゆっくりいってらっしゃい!!」 「いっちぇらっちゃーい!!」 「おいちいあまあましゃん とっちぇきちぇにぇぇ!!」 「おとーさんにまかせるんだぜ! たのしみにまってるんだぜ、おちびちゃんたち!」 とある街、とある路地裏、ダンボールのおうちの前。 狩りにでかけるお父さんまりさを子ゆっくり達が見送っています。 お父さんまりさの頼もしい言葉に、ぴょんぴょん飛び跳ねてゆわーいゆわーいと大喜びするのは、 いつも仲良しな二匹の赤ちゃんれいむ達。 つぶらなおめめをキラキラさせて、尊敬と憧れの眼差しでお父さんまりさを見上げているのは、 早くおとなになりたいお年頃のお姉ちゃんの子まりさ。 そこへ、慌てた様子のお母さんれいむがダンボールのおうちから飛び出してきました。 「まってね、まりさ! おべんとーさんをわすれてるよ!」 「ゆ? ゆゆっ! う、うっかりしてたのぜ!! ゆへへ…」 お母さんれいむから渡されたのは大きめの葉っぱでくるまれたお弁当。 お父さんまりさは、少し照れながら、そのお弁当を大切そうにお帽子の中にしまいます。 今日のお弁当は、お父さんまりさの大好物のいもむしさん。 そして、お父さんの健康を考えて、4種ぐらいの草さんのたっぷりサラダ。 お母さんれいむのあいっじょうっ!がたっぷり詰まった愛妻弁当です。 「ゆもう! まりさはうっかりやさんだね! れいむがついてないとだめだね!」 なんて言いながら、お母さんれいむはお父さんまりさのほっぺたに、ちゅっ!とお見送りのご挨拶。 「ゆふふ~ん♪ じゃあ、こんどこそいってくるのぜ、れいむ!」 お父さんまりさも負けてはいません。 お母さんれいむのお口に、ご挨拶を返します。 「おにぇーちゃん! みえにゃいよ!」「ゆっくちみしぇてにぇ!」 お姉ちゃん子まりさは、お帽子とおさげで妹達の目隠しをしながら、お顔を真っ赤にしています。 毎朝の光景ですが、どうやらお姉ちゃんにはまだ少し刺激が強すぎるようですね。 ◇ ◇ ◇ 「ゆんしょ! ゆんしょ! おそうじするよ!」 お父さんまりさをお見送りをした後は、お母さんれいむの家事の時間。 今は家族の朝うんうんのお片づけです。 家族みんなのうんうんが乗った葉っぱを引っ張って、おうちの外へずーりずーりと運び出します。 お口に咥えた葉っぱから漂ってくるうんうんの匂いで、エ゛ンッとなりそうですが、涙を飲んで我慢我慢。 うんうんをおうちに中に置きっぱなしにしておくと、 ゆっくりできない匂いがこもって、おうちの中がゆっくりできなくなってしまいます。 狩りがお父さんまりさのお仕事なら、おうちをゆっくりできるよう保つ事がお母さんれいむのお仕事なのです。 「おかーさん! まりさ、ちぇんのおうちにあそびにいってくるね!」 お母さんれいむが、おうちから少し離れたところにうんうんを捨て終えたところで、 おうちから出てきた子まりさが声をかけてきます。 これから仲良しのお友達のところへ遊びに行くようですね。 「ゆ! いってらっしゃい、おちびちゃん! おひるごはんさんまでにはかえってくるんだよ!」 「はーい!」 元気良くお返事をして、子まりさがぽよんぽよんと跳ねていきます。 でも、お母さんれいむのターンはまだ終わっていません。 「おちびちゃん! よそのおうちにおじゃまするときは、ちゃんと『ゆっくりしていってね!』っていうんだよ! あと、にんげんさんがたくさんいるみちはとおらないでね! こわいにんげんさんにつかまったら、ゆっくりできなくされちゃうよ! ねこさんやからすさんもこわいこわいだよ! きをつけてね! ごしんようのえださんはちゃんとおぼうしにいれた? ゆゆっ! おぼうしさんがちょっとまがってるよ! しっかりかぶってね! それから…」 「ゆ、ゆううぅ! おかーさん! まりさ、もうおちびじゃないから、そんなにいわれなくてもわかってるよう!」 子まりさはそう言うと、そそくさと跳ねていってしまいました。 「ゆ! ま、まってね、おちびちゃん…! …ゆも~…」 既に小さくなってしまったおちびちゃんの背中を見ながら、お母さんれいむが溜息をつきます。 でも、仕方がありません。 お姉ちゃんの子まりさは、背伸びをしたいお年頃。 いつまでもおちびちゃん扱いされるのは恥ずかしいものです。 お母さんれいむもそれがわかっているので、本気で怒ったりはしません。 ただちょっと、おちびちゃんの成長が嬉しくもあり、寂しくもあり、そんな気持ちになっているだけなのです。 子まりさの姿が完全に見えなくなると、お母さんれいむはおうちの中に戻ります。 お母さんれいむには、まだ大事なお仕事が残っています。 そう、赤ちゃん達のお世話です。 朝ごはんと朝うんうんの次は、赤ちゃん達のすーぱーすやすやタイム。 赤ちゃんは、たくさんむーしゃむーしゃして、いっぴゃいうんうんをだして、たくさんすーやすーやするのがお仕事。 そのお手伝いをするのです。 「ゆ~んゆゆ~…ゆ~んゆゆ~…♪」 ダンボールのおうちにゆっくりできる子守歌が響き渡ります。 おうたが始まるまでは、大好きなお母さんのおうたが聞けるとあって、 ゆんゆん元気にはしゃいでいた赤ちゃんれいむ達でしたが、 そこは流石の三児の母ゆっくり。 いざ子守歌が始まると、たちまち赤ちゃん達はゆぴーゆぴーと可愛い寝息を立て始めました。 「ゆ~んゆゆ~…♪ …ゆふふ…あかちゃんたち、もうねちゃったんだね…… ゆ~んゆ~…♪」 寝息に気付いたお母さんれいむは、赤ちゃん達に笑いかけてから、子守歌を歌い続けます。 赤ちゃん達のしあわせそうな寝顔を見ていると、れいむの顔にもしあわせーが浮かびます。 そうして、春のお日さまさんのように暖かい気持ちに浸っている内に、 れいむもウトウトとし始め、ゆっくりと眠りに落ちて行きました……… 【PM 12 00】 「ゆ…ゆ~ん………ゆっくりおきたよ! …ゆゆ?! れいむ、うっかりおひるねしちゃったよ!」 お母さんれいむが目を覚ましました。 ダンボールのおうちの入り口からお外を覗くと、おひさまさんが真上に来ています。 「ゆ~…もうおひるさんになっちゃったよ…」 れいむはちょっとがっかりします。 午前中におうちのお掃除をしようと思っていたのに、予定が狂ってしまったのです。 でも、大丈夫。 『明日できることは明日やればいいよ!』 それがお母さんれいむのゆっくりしたモットーです。 れいむは、すぐに気持ちを切り替えます。 お掃除は明日やる事に決めて、まずはお昼ごはんの用意を始めます。 「しゅーやしゅーや…しゅーやしゅーや……ゆ…ゆぅん………ゆっくちおきちゃよ!!」 「ゆぴー…れいみゅの…あみゃあみゃしゃん…ゆっくちたべらちぇにぇ…… ゆう~…? ゆーん! おきゃーしゃん! れいみゅがゆっくちおきちゃよ!!」 おやおや。 お昼ごはんの匂いにつられたのでしょうか? 赤ちゃんれいむ達が起き出してきました。 お母さんれいむは、赤ちゃん達の口元のよだれ跡をぺーろぺーろしてあげながら言います。 「れいむのあかちゃんたち! ゆっくりおめざめさんだね! まっててね! おねーちゃんがかえってきたら、おひるごはんさんにするよ!」 「ゆわーい! ごはんしゃん! ごはんしゃん!」 「れいみゅ、おにゃかぺこぺこしゃんだよ! いっぴゃいたべりゅよ!」 大好きなお母さんのぺーろぺーろと、お昼ごはんのしあわせだぶるぱんちに、 赤ちゃん達はおうちの床をころころ転がって大喜び。 その後、もちもちのほっぺたをお母さんにすーりすーりしてもらいながら、お姉ちゃんの帰りを待つのでした。 【PM 12 30】 「おきゃーしゃん…おにぇーちゃんかえってこないにぇ…」 「ゆ…れいみゅ…おにゃかしゅいちゃよう…」 「ゆう…そうだね…ちゃんとおひるごはんまでにかえってくるっていってたのに…」 子まりさお姉ちゃんはまだ帰ってきません。 赤ちゃん達は、おなかが空き過ぎて元気がなくなってきました。 お母さんれいむは、お姉ちゃん子まりさの姿を求めておうちの外にチラチラと目をやります。 しかし、いつまでたってもお姉ちゃんは姿を見せません。 「ゆーん…しょうがないね…あかちゃんたちは、さきにごはんさんをむーしゃむーしゃしようね!」 そう言うと、お母さんれいむは、赤ちゃん達のお昼ごはんを持ってきます。 今日のお昼は、お母さんれいむの得意料理、草さんのおひたし。 少し固い草さんを、赤ちゃん達が食べやすいようにむーしゃむーしゃと噛んで柔らかくします。 ゆっくりの甘い唾液が染み込み、少しにがにがな草さんも食べやすくなるのです。 「「むーちゃむーちゃ、しょれなりにちあわちぇ~!!」」 美味しそうにごはんを頬張る赤ちゃん達を眺めて、ゆふふと笑っているれいむですが、 自分はごはんを口にしていません。 れいむは、お姉ちゃん子まりさが帰ってきてからごはんを食べようと思っているのです。 お姉ちゃんがごはんを食べるときに、いっしょにむーしゃむーしゃする相手がいないと、 美味しさが半減してしまうからです。 【PM 1 00】 赤ちゃん達のごはんが終わっても、お姉ちゃんは帰ってきませんでした。 さすがのお母さんれいむも待ちきれません。 と言っても、先にごはんを食べてしまおうと言うわけではありません。 「ゆぅ~…おかあさん、ちぇんのおうちまでいってくるよ! あかちゃんたちは、ゆっくりおるすばんしててね!」 「「ゆっくちりきゃいちたよ!」」 れいむは、おなかがいっぱいになってゆっくりしている赤ちゃん達にそう言い残し、 可愛いおちびちゃんを迎えに行く事にしました。 おうちを出ると脇目もふらず、まっすぐに跳ねていきます。 「ゆゆ? なにかあるよ?」 と思ったら、おうちを出てわずか三歩で脇目をふってしまいました。 おうちのすぐ近くに黒い何かの塊が落ちていたのです。 「ゆう~~?」 れいむは頭を傾げて、黒い塊を見つめます。 それは、まるい形をしていて、大きさは…れいむのお口の高さと同じくらいの高さがあるでしょうか 用心して離れて様子を見ていたれいむでしたが、暫くするとずりずりと這って近づいていきます。 「ゆぅ…おいしそうなにおいだよ~…」 その黒い塊からは、とても甘そうな匂いが漂ってきていたのです。 まだお昼を食べていないれいむの喉とおなかが、ごくんごくんぎゅるるるるんと鳴ります。 「ちょっとあじみしてみるよ!」 誘惑に耐えきれなくなったれいむは、お口の先でちょっとだけその黒い塊を囓ってみました。 これはいけません。 もし、ゆっくりを邪魔物扱いする人間さんが置いた毒のごはんだったらどうするのでしょう。 でも、れいむは苦しみ出すことも、餡子を吐くことも、「これどくはいってる!」と叫ぶ事もありませんでした。 それどころか 「むーしゃむーしゃ…し、し、しあわせぇーーっ!?」 と、天を仰ぎながら、本当に幸せそうな表情で叫んだのです。 興奮でもみあげを上下にばっさばっさと羽ばたかせ、このままどこかへ飛び去ってしまいそうな勢いです。 「ゆううぅ!! これすっごくあまあまだよう!! もっとたべるよっ!! むーしゃむーしゃっ! むーしゃむーしゃっ! しあわせぇぇ~~っ!!」 喜びのあまり、子ゆっくりのようにぽいんぽいんと無邪気に飛び跳ねてから、またあまあまに口をつけます。 一口、もう一口と、夢中で囓っていきます。 そして、あまあまが四分の一ぐらいおなかに収まったところで、ようやくれいむは我に返りました。 「しあわせ~!! ゆ…ゆゆっ…!? だ、だめだよ! あぶないあぶないだよ! れいむひとりでたべちゃうとこだったよ! おちびちゃんと、かりでつかれてかえってくる まりさにもたべさせてあげなきゃだよ! ゆ~ん♪ れいむ、りょうっさいっけんぼでごめんねぇ~!」 そう言って、もう一口だけあまあまを囓ると、れいむはあまあまを持っておうちへ戻りました。 「ゆゆっ! おきゃーしゃん、おきゃえりなしゃい!!」 「ゆ~? おにぇーちゃんは…ゆゆっ?! なにしょれ! おいちしょう…!」 お家で留守番をしていた赤ちゃんれいむ達は、 お姉ちゃんを迎えに行ったはずのお母さんがあっと言う間に帰ってきたので、 ちょっと不思議そうな顔をしましたが、 めざとくお母さんが運んでいるモノをみつけます。 「これはおかーさんが、かりでとってきたあまあまさんだよ! とってもあまくっておいしんだよ!」 誇らしげに答えたお母さんれいむの言葉を聞いて、赤ちゃん達はぷるぷると震えます。 まるで小さな体の中に力を溜めているかのようです。 そしてたっぷりぷるぷるした後、溜めた力を一気に爆発させ、ぴょーーんと高く飛び跳ねました。 「ゆわあああぁぁ!! あみゃあみゃしゃん!! ちょうりゃいにぇ!」 「ゆっくちできりゅにぇ!! ゆっくち!! ゆっくちぃ!!」 赤ちゃん達が喜ぶのも無理はありません。 あまあまさんは、ゆっくりにとって最高のご馳走なのです。 でも赤ちゃん達はこの後すぐに涙目になってしまいます。 「あかちゃんたちは、もうおひるさんをたべたから、これはゆうごはんにしようね!」 「「ゆぎゃーん?!」」 お預けを喰らった赤ちゃん達が、今すぐあまあまさんを食べたいと、駄々をこね始めます。 これにはお母さんれいむも困ってしまいます。 でも、そこはふたりともお母さんの自慢の赤ちゃん達。 お母さんれいむが優しく諭しながら、大きなもみあげさんでなでなでしてあげると、 ふたりともすぐにゆっくりとした表情になりました。 まだちょっと目の端に涙を溜めてはいますが、お母さんの言いつけをりかいして、 あまあまさんは夜まで我慢することを約束します。 お母さんれいむは、そんな良い子の赤ちゃん達にたっぷりすーりすーりをした後、 今度こそ子まりさのお迎えに出発するのでした。 【PM 2 00】 お母さんれいむは子まりさのお友達のちぇんちゃんのおうちに到着しました。 「ゆう…おそくなっちゃったよ…」 おなかを空かせたれいむが少しくたびれた声を上げます。 普通なら、れいむのおうちからここまで、おとなのゆっくりで30分、子ゆっくりでも1時間で着きます。 でも、ここに来る途中でお母さん友達のありすとバッタリと会い、 お互いのおちびちゃんの事やおちびちゃんの事やおちびちゃんの事を話しこんでいるうちに、 すっかり遅くなってしまったのです。 ちぇんちゃんのおうちは、しんぐるまざーのお母さんちぇんと、可愛い子ちぇんのふたり暮らし。 れいむ一家と同じくダンボールのおうち住まいですが、 こちらは食べ物屋の入ったビルが立ち並ぶ路地裏にあり、 人間さんの食べ残しの美味しいご馳走が手に入りやすい、いっとうちっ!です。 もちろん、おうち自体は人間さんに簡単に見つからないよう、放置された大きなゴミの影に作られています。 そうしないと、ゆっくりできない人間さんにゆっくりできなくされてしまいますからね。 さて、れいむはもみあげさんでおうちの入り口のブルーシートをばさばさとノックしています。 「ちぇんちゃんいる? れいむはれいむおばさんだよ!」 しかし、何度ノックをしても、お返事がありません。 「ゆぅ…へんだよ…おへんじがないよ…」 れいむは困惑してしまいます。 子まりさは確かにちぇんちゃんのおうちに遊びに行くと言っていました。 お互いの家を行き来するときの通り道は、できるだけ安全な道を選んで決めてあるので、 どこかで行き違いになったなら気付く筈です。 ひょっとして、ちぇんちゃんを誘って、お外へ遊びに行ってしまったのでしょうか。 遊びたい盛りのおちびちゃん達なら、十分ありえることでしょう。 でも、ふたり揃ってお昼寝をしているのかもしれません。 れいむはおちびちゃん達の寝息でも聞こえないかと、ブルーシートに横顔を押しつけ、 中の様子に無い耳をそばだてようとします。 すると、れいむに押されたブルーシートがふわりと動いて、おうちの内側が少し見えました。 「ゆ…あいてるよ…?」 それはそうです。 少しの間、中に入ってよいものかと躊躇っていたれいむでしたが、 やがて、ブルーシートのドアを開いておずおずと中に入ります。 「ゆ~……かわいいれいむがゆっくりおじゃまするよ………ゆ……だれもいないよ…」 ちぇんちゃんのおうちの中には、子まりさやちぇんちゃんの姿はありませんでした。 お母さんちぇんの姿も見えませんが、この時間ならいつもは狩りに出ているはずです。 「ゆーん…おちびちゃん、どこかにあそびにいっちゃったんだね…」 れいむはおうちから出ようと振り返りますが、そこでぴたりと動きを止めます。 「ゆ? なんだかいいにおいがするよ…」 れいむはおうちの中に漂っている甘い匂いに気付いて、口の少し上あたりをすんすんと動かします。 匂いの元を探してすんすん言いながら周りを見回し、やがて、おうちの片隅に目を止めました。 そこにあったのは、黒い何かの塊です。 「ゆゆ…これはれいむがみつけたあまあまさんとおんなじだね」 それは確かにれいむがおうちの前でみつけた黒い塊によく似ていました。 それが二つ、一つはれいむがみつけたのと同じくらいの大きさ、 もう一つはそれよりもずっと大きかったようです。 『大きかったようです』と言うのは、大きい方の塊はだいぶ食べられてしまっていて、 元の大きさが正確にわからないからです。 ただ、塊の下の部分がまだ残っているので、その大きさから元の大きさの想像が付きます。 残っている部分は、幅にしてれいむのもみあげから反対側のもみあげぐらいまであるでしょうか。 ちなみに小さい方も四分の一ほど囓られています。 「ゆうぅ…それにしてもいいにおいだよお…」 れいむは黒い塊を見て、はしたなくヨダレを垂らします。 ただでなくても甘~い匂いを放っているところに、さきほど食べたあまあまの味の記憶が舌の上に蘇り、 れいむのおなかは、まるで道路工事のような音を立てます。 思わず一口囓りそうになってしまった後、れいむは激しく頭を横に振りました。 「ぶーるぶーる! だ、だめだよ! これはちぇんのおうちのごはんだよ!」 そして、これ以上ここにいると誘惑に負けてしまいそうなので、慌ててちぇんのおうちを飛び出しました。 「ゆふー…あぶないところだったよ…」 ガチャ 「ゆ?」 ちぇんのおうちから出たれいむが、盗み食いをする悪いゆっくりにならなかった事にほっと安堵していたとき、 何かが開く音が聞こえました。 れいむは、音のした方向に目を向けます。 「ゆ…ゆひいいぃ!! にんげんさん!?」 そう。そこにいたのは人間さんでした。 どうやら路地裏のゴミ置き場に生ゴミを捨てに出てきたようです。 れいむの叫び声に気付いた人間さんが視線を下ろし、れいむと目を合わせます。 「なんだ、まだいたのか…」 人間さんは、不機嫌そうな顔と声でそう呟きました。 (ゆわわわ……!) 人間さんのゆっくりしていない様子に、れいむはこのままここで潰されてしまうに違いないと思い、 怖くてギュッと目をつむります。 しかし、れいむの予想とは違い、人間さんはすぐに建物の中に入ってしまいました。 れいむはそ~っと目を開いてから、たすかったよぉと、ほっと溜息を吐きます。 その瞬間にまた人間さんが建物から出てきたので、驚いて飛び上がってしまいました。 そんなれいむの足下に、人間さんは黙って何かを投げました。 ビー玉くらいの大きさの黒い玉が一つ、コロコロ転がって、れいむのすぐ前で止まります。 キョトンとした顔で黒い玉を見ていたれいむですが、すぐにその黒い玉から甘い匂いがする事に気付きました。 れいむのおなかが、またまたオーケストラを奏で始めます。 れいむは不思議そうな顔で人間さんを見上げると、恐る恐る、聞いてみました。 「ゆ…? …これ、れいむにくれるの…?」 「…ああ」 答える人間さんは、相変わらずゆっくりしていません。 れいむは困ったように人間さんと黒い玉を交互に見ていましたが、 ついに意を決して黒い玉を舌先で舐めてみました。 「ぺーろぺーろ…ゆゆっ!? あ、あまあましあわせええぇ~!!」 黒い玉はあまあまさんでした。 れいむのおうちの前で見つけたあまあまさんに勝るとも劣らない甘さです。 れいむは地面の上の黒い玉を口に含むと、一心不乱に舌の上で転がします。 黒い玉が舌の上を行き来する度に、玉の表面から溶け出した甘味が口一杯に広がります。 思わず感激にグネグネと身を躍らせる甘さです。 無我夢中で舐めていると、黒い玉はあっという間に溶けてなくなってしまいました。 「ゆうぅ…おいしかったよお…にんげんさん…ゆ?」 あまあまを舐め終えたれいむは、人間さんにお礼を言おうとしましたが、 いつの間にか人間さんはいなくなっていました。 仕方ないので、人間さんが出てきた建物に向かってお礼を言うと、子まりさを探しに向かうのでした。 【PM 4 00】 「ゆひぃ…ゆひぃ……」 元気に跳ねていたれいむが、今はずりずりと力無く地面を這っています。 おなかが空いて力が出ないため…ではないようです。 「ゆぐぐ…なんだかへんだよ…からだぢゅうがいたいよ…くるしいよ…ゆっくりできないよ……」 どうやら体の具合が悪くて、跳ねる力が出ないようです。 れいむは、ちぇんのおうちを出てから、 1時間ほど近くで子まりさ達が遊びに行きそうな心当たりを回ってみたのですが、結局みつかりませんでした。 他に行きそうなところは…と考えている内に、急に具合が悪くなってきたのです。 「ゆひぃ…ゆひぃ…か、かえらないと…おうちにかえらないとだよ…」 子まりさを探すのは諦めたようですね。 懸命な判断でしょう。 こんな体で闇雲に探し回るのは無理があります。 ますます具合が悪くなって、永遠にゆっくりしてしまうかもしれません。 それに、もう夕方近くです。 子まりさとはどこかで行き違いになっていて、既におうちに帰っているに違いありません。 おうちへ帰ろうとしているれいむでしたが、這うことしかできないので、その歩みは遅々として進みません。 普段なら30分の道のりを、更に危険を冒して人間さんのいる近道を通っているにも関わらず、 おうちに向かい始めてもう1時間が過ぎましたが、まだおうちに辿り着いていません。 今、れいむは小さな公園の中を通っています。 ここを越えた後は、小さな川にかかる橋を渡れば、すぐにおうちです。 「ゆぎぎ…いだいよお…………」 ぱさ 痛みに呻いている最中に自分の視界のすぐ前を何かが落ちていったような気がして、れいむはあんよを止めました。 「ゆ……?」 地面を見ると、すぐ目の前に何か黒い物が落ちています。 「なに…これ……?」 れいむは舌を出して、その黒い物に触れます。 すると、束になっていた黒い物がバラバラにほぐれました。 何か細くて長い物が束になっていたようです。 黒い物はれいむの舌にも、何本かまとわりついてきました。 れいむは、どこかでそれを見たことがあるような気がして、ボーッとする頭で思い出そうとします。 たっぷり1分はかかったでしょうか。 ようやくその正体に思い当たったようです。 「かみのけ…さん……?」 そう呟いた後、れいむは既に青くなっていたお顔を更に青くさせて、 左のもみあげを持ち上げて自分の頭を探ろうとします。 ばさ れいむのすぐ横で何かが落ちる軽い音がしました。 わずかに向きを変え、自分の横の地面を見ます。 その途端、れいむの丸いおめめが大きく見開かれます。 「な…なに…これ……なに……なにごれええぇえぇぇ!?」 それから、悲痛な叫びを迸らせました。 れいむが見た物は、地面に落ちた、れいむ自身のもみあげさんでした。 持ち上げようとしたもみあげが、根本からごっそりと抜けて地面に落ちていたのです。 それだけではありません。 もみあげさんについている赤いお飾りが見当たりません。 いえ、よく見るとついているのです。 でも、赤くはなく、髪の毛の色と区別が付かないような色をしています。 お飾りは、まるで腐った食物のように黒く変色していたのです。 「ゆあああぁ!? せかいぢゅうのまりさをみりょうする れいむのうつくしいもみあげさんがああぁ?! もどってねえぇ! もみあげさんもとにもどってねえぇ!」 もみあげさんを治そうと、れいむは必死にぺーろぺーろをします。 れいむの大切なおちびちゃんが怪我をしたときでも、 たいていぺーろぺーろ一発で治るような気がするものです。 でも、れいむの舌が触れると、黒く変色したお飾りはボロボロに崩れてしまいました。 「ゆああぁ!? ゆあああぁ!?!?」 れいむはちょっぴりパニック気味です。 もう片方のお飾りの様子を確認するため、残った右のもみあげさんを顔の前に回そうとします。 しかし、何かが変です。 もみあげさんを動かそうとしている筈なのに、何の感覚もないのです。 まるで、もみあげさんが無くなってしまったみたいです。 れいむは恐る恐る自分の右の地面に顔を向けます。 そこにもう一本のもみあげは落ちていませんでした。 れいむは少しだけホッとします。 ですが、次の瞬間には視界の右端に何か黒い物が映っている事に気付き、ギクリとします。 れいむは更に右側へと顔を向けます。 最初の向きから見るとちょうど真後ろを振り向く形になりました。 そこにあった物を見て、れいむのおめめからじんわり涙が溢れました。 「ゆぎゃああぁ!? れいむのしっとりなめらかなくろかみさんがあああぁぁ!?」 れいむが涙を流しながら叫びます。 れいむが這ってきた道筋を辿るように、大量の黒い髪の毛が点々と落ちていたのです。 もう片方のもみあげもずっと遠くの方に落ちていました。 ◇ ◇ ◇ 「ゆひ…ぐるじい……やだ……こんなのやだよ…ゆひぃ……おうちかえる……おうちかえるよ…」 すっかり髪の毛の抜け落ちたれいむが、苦しそうな声をあげて公園の中を這っています。 あの後で髪の毛と一緒に抜け落ちてしまったおリボンさんを大事そうに口に咥えています。 そのリボンも黒く変色し、もう元の色が何色だったかわかりません。 時間が経つほどに餡子の痛みと苦しさが激しくなってきています。 まだお日様が沈む時間ではない筈なのに、辺りが暗く見えます。 れいむ自身には理由はわかりませんでしたが、れいむのおめめまでが黒く変色してきていたためです。 「たすけて…まりさぁ……れいむをたすけてよぉ……」 番のまりさに助けを求めますが、当然ここにまりさはいません。 その替わりと言ってはなんですが、れいむが進む先で、一人の人間さんがベンチに腰掛けていました。 買い物帰りなのか、スーパーのビニール袋を横に置き、何やら携帯電話をカコカコ弄っています。 「たすけてぇ…にんげん…さん…れいむを…たすけてぇ…」 れいむは人間さんに助けを求めます。 にんげんさんにうかつにちかづくと ゆっくりできなくされるよ いつもれいむ自身がおちびちゃん達に口を甘ずっぱくして言っている事ですが、今は緊急事態です。 それに、こんなに具合が悪くて可愛そうなれいむを見れば、 ゆっくりできない人間さんだって、同情してれいむを助けてくれるはずです。 そう考えてれいむは助けを求めます。 もう声を出すのも辛くなってきていますが、それでも力を振り絞って助けを求めます。 「ん…? おわっ?! な、なんだこれっ!? キモッ!」 れいむが近づくと、ベンチに座っていた人間さんは驚いて立ち上がりました。 でも、すぐに安心した顔に変わります。 「…って、ゆっくりか…驚かせやがって… それにしても本当にこんな風になるのかぁ。CMで見た通りだな」 れいむにはよくわからない事を言って、もう一度ベンチに腰掛けます。 よくわからないので、れいむはそのまま助けを求め続ける事にしました。 「おねがいだよ……に…んげん…さん……れいむ…なんか…びょうきさんになったみたいだよ… くるしいよ……しにたく…ないよ…おちびちゃんと…まりさに…あいたいよ…たすけて……」 「ん? あー、会えるんじゃない? そういうもんらしいし」 ヒマだったのでしょうか。 人間さんはれいむの言葉に答えます。 どうやら今のれいむの状態について、何か知っているような口振りです。 「ゆ…そう…なの…? にんげんさん…? れいむ…しなない…? れいむのびょうきさん…なおるの…?」 「いや、死ぬだろうし、治らないんじゃない?」 「ゆ…ゆううぅ…!」 無慈悲な宣告にれいむが絶望の悲鳴を上げます。 その間も、人間さんは携帯電話を何やら弄っていましたが、 ようやく用事が終わったのか、携帯電話をポケットにしまいました。 「お前、これ食ったんじゃないか?」 人間さんは、買い物袋をゴソゴソと探り、何かの箱を取り出します。 れいむは、箱の表面にゆっくりの親子のイラストが描かれているのに気付きました。 イラストの横には何か文字が書かれていますが、当然、れいむには読めません。 人間さんは箱を開けて、透明なビニールの小袋で包装された物を中から取り出します。 そして、その袋をれいむの目の前に放り投げました。 袋の中には何か黒い物が入っています。 「ゆ…これは……あまあまさん…?」 袋に入っている、いないの違いこそありますが、 それは確かに、れいむがちぇんのおうちに行ったときに人間さんから貰ったあまあまさんでした。 「食ったんだろ?」 人間さんにもう一度問いかけられ、ハッとしてれいむは答えます。 「たべたよ……しんせつな…にんげんさんが……くれた…よ……」 答えるれいむの語尾が震えます。 もうそろそろれいむも気が付き始めていました。 自分が食べたあまあまが何だったのか。 れいむが、人間さんが手にしているあまあまの箱にもう一度目を向けます。 そこに描かれているゆっくりのイラストは、目をバッテン印にして苦しそうな表情をしていました。 もし、れいむが字を読めるゆっくりだったなら、その横のフキダシにこう書いてある事に気が付いたでしょう。 『これどくはいっちぇる!!』 「これはおまえらゆっくりを駆除するための殺ゆ剤だよ。 俺の家も散々花壇が荒らされててな。 この新製品の評判が良かったから買ってみたんだが、お前の様子を見る限り、効果は期待できそうだ」 「そ…そんな…そんな……れ、れいむ、どうなるの……?」 「え? 知りたいの? んー、ちょっと待ってろよ」 親切な人間さんは箱の中から説明書きを取り出し、れいむに読み聞かせてあげます。 「えーと… 『本剤を摂取したゆっくりは、しばらくすると中枢餡に異常をきたし、急速に餡子や皮が腐り始めます』… ふんふん…『効果が現れるまではサイズにより時間差があります』と… んーと…おまえぐらいの大きさのゆっくりなら…大体2時間ぐらいで腐り始めるんだってさ。 何々…『本体だけではなく、髪の毛や、目玉』… へー、飾りまで腐るのか。不思議なモンだ。 まあ、おまえらの飾りは体と一緒に成長するって言うし、体の一部って事なのかな? えーそれから……『ただし、ゆっくりの底部(足)、及び』…」 人間さんが殺ゆ剤の効能を説明してくれている間、れいむはずっと涙を流して震えながら聞いていました。 そして、人間さんの話が終わったとき、遂にれいむは叫びました。 蚊の鳴くような掠れた声でしたが、それでも、懸命に喉の奥から声を絞り出して叫びました。 「どーして…どーしてそんなことするのおおぉ…!? れいむたち、ただいきているだけなのにぃ…! どーし…?!?!」 その叫びが途中で途切れ、れいむは急に咳き込み始めます。 ゆほっ、ゆほっと少し吐餡混じりの咳をします。 何回目かの咳と一緒に、何かがれいむの喉の奥から飛び出して、地面にベチャッと落ちました。 「……!? ……!?」 れいむはそれが何かすぐにわかったようです。 口をパクパクとさせながら、大粒の涙をボロボロとこぼしています。 喉から飛び出したのは、れいむの舌でした。 舌がれいむの口の中で根本から腐って崩れ落ち、れいむの喉に詰まったのでした。 落ちた舌は、まるで別個の生き物であるかのようにぷるぷる震えていましたが、暫くすると動きを止めます。 「そんな事、俺に言われてもなぁ……まあ…なんだ…ご愁傷様? 今度はゆっくり以外に生まれてこれるといいデスネ。じゃあな」 落ちた舌に気を取られているれいむには構わず、人間さんはれいむの質問に答えました。 殺ゆ剤の箱を買い物袋に戻すと、また携帯電話を弄りながらその場を立ち去ります。 「…! はっふぇひょお…! へいふほひゃふへへ!(まってよお…! れいむをたすけてえぇ!)」 れいむが慌てて人間さんに追いすがろうとしますが、助けを求めて開いた口からポロポロと何かがこぼれ落ちます。 それは、腐って抜け落ちたれいむの歯でした。 それに気付き、れいむの瞳から流れる涙の川は激しく増水します。 そうしている間にも、人間さんはどんどんと離れて行きます。 「ひゃ………! ひふぃ………! (やだよおぉ!! しにたくないよおおぉ!!)」 舌と歯がなくなっても、まだ必死に助けを求めようとしますが、 顎の部分の餡子が腐ったのか、もう満足に口を開く事もできません。 あんよは動くのですが、ずりずりと這うだけでは、人間さんの歩く速さに追いつける筈もありません。 れいむの見ている前で、人間さんの背中はどんどん小さくなって行きました。 ◇ ◇ ◇ (かえる…おうちかえる………) れいむがずりずりと橋の上を這っています。 おうちに向かって、まっすぐに這っています。 この橋を越えれば、もうすぐおうちに着きます。 帰りたい 何よりも大事な家族が…おちびちゃん達とまりさが待つ…ゆっくりできるおうちに帰りたい その強く激しい想いに突き動かされ、まだ健在なあんよをずりずりと動かし続けます。 れいむのおめめは腐って黒く濁り切り、 まだ昼間なのにれいむの周りだけ夜になったみたいです。 わずかに見える足下の様子だけを頼りに、れいむはおうちに向かって這い続けます。 いつもまりさやおちびちゃん達と親愛のすりすりをしていた、もちもちの柔らかい饅頭肌も、 今は腐って黒くなり、以前の面影はありません。 髪が抜け、饅頭皮もおめめも黒くなり、お口も開かないれいむの姿は、はたから見ると不気味な動く黒い塊です。 道行く人間さん達はれいむを見ると最初はビックリした顔をしますが、すぐに平静を取り戻します。 公園にいた人間さんと同じです。 みんな、"それ"が何なのか、知っているのです。 (かえりたい…おうちかえりたいよ……あいたいよ……おちびちゃん………まりさぁ!) おうちが近づく程に、おうちに帰りたいというれいむの願望はどんどん強くなっていきます。 でも、れいむはその願望に抗おうとします。 (かえり…たい……でも………かえれ…ないよ……れいむが……かえったら………) れいむは思い起こします。 公園で人間さんに説明された、恐ろしいお薬の事を。 「えーそれから…… 『ただし、ゆっくりの底部(足)、及び、一部の感覚器官は機能を失いません。 また、完全に死滅するまでは直径30cmの成体で約24時間かかります。 本剤の効果により、ゆっくりはその帰巣本能』 …帰巣本能って言ってもわからないか。 まあ…お前らで言うところの『おうちかえる!』って気持ちか。そう言えばわかるか? ん、そうか」 人間さんは、説明書きを読み上げた後、れいむにもわかりやすい言葉で丁寧に説明し直してくれます。 「『帰巣本能を強く刺激され、全身が黒く腐敗した状態で自分の巣に戻ります。 巣の近くにまで辿り着き、"巣に着いたからゆっくりできる"という餡神経信号が中枢餡に流れると 本剤の第二段階の効果が現れ、底部の運動餡神経が破壊されると共に、 体からゆっくりが好む甘い匂いを放つようになります』 へー、どんな仕組みになってんのかねぇ。科学スゲエな。で、と…」 「『巣の中に隠れている他のゆっくりは、匂いに惹かれて本剤を摂取したゆっくりを食べます。 ゆっくりが個体識別に使用する飾りが腐り落ち、体色も黒く変色しているため、同族だとは認識しません。 ゆっくりを食べたゆっくりに対しても本剤の成分が効果を発揮し、巣の中のゆっくりは全滅します』 か…ふーん、なるほどねぇ… あ、ごめん、今のじゃお前にはわからないよな。まあ簡単に説明するとだな………」 「いや、ホント凄いな。これでウチの花壇の被害も減ってくれるといいんだけどな」 一通りの説明を終えると、人間さんは、そうこぼしながら殺ゆ剤の箱を眺めていました。 れいむには読めませんでしたが、その箱、ゆっくりのイラストが書かれた面の裏面には、 『ゆっくりの巣コロリ』 と書かれていました。 (おうちかえる…! おうちかえる…! れいむ、おうちかえるよ…! だめだよ…! かえっちゃだめなんだよ…! れいむが…れいむがかえったら… おちびちゃんたちも…まりさも…みんなゆっくりできなくなっちゃうんだよ…!! でも……でも…! かえり…たいよぉ…!!) おうちに帰ってはいけない そう頭ではわかっていても、れいむのあんよは勝手におうちを目指して這い続けます。 それはそうです。 れいむがおうちに帰りたいと想う気持ちは、家族にもう一度会いたいと想う気持ちは、 とてもとても強い物なのですから。 その気持ちを薬の効果で更に強くされているのですから。 苦悩の涙を流しながら橋の上を這うれいむの側頭部の餡子に、さらさらと流れる水の音が聞こえてきました。 その音でようやくれいむは思い出します。 ここが橋の上だった事を。 (ゆ……) 水の音はれいむのすぐ左手から聞こえてきます。 (かわ…さん……) れいむがゴクリと唾を飲み込みます。 前へ前へ進もうとするあんよに何とか言う事を聞かせ、進路を少しだけ左に曲げます。 しばらくすると、あんよが橋の縁にかかったのがわかりました。 もう一歩だけ進むと、その先には流れる川の水が待ち構えているのです。 れいむの体がブルブルと震えています。 もし、歯が残っていたなら、ガチガチと音を鳴らしていたことでしょう。 (もう…これしかないよ……) れいむの頭の中に、次々に顔が浮かび上がります。 すやすや眠る赤ちゃん達の可愛い寝顔 元気良く跳ねて出かけたお姉ちゃん子まりさのちょっと恥ずかしそうにしていたお顔 そして、れいむの目の前を塞ぐ、ちょっとうっかりやさんだけど、優しくて愛しいまりさの笑顔 れいむは、もう一度そのお顔が見たくてたまりません。 でも、もし、それをしてしまったら、 れいむの大切な家族達は、もう二度とそのゆっくりできるお顔を浮かべることはできなくなるのです。 不意にれいむの脳裏に公園の人間さんが立ち去った後の光景が浮かびます。 黒く腐ってしまった、赤ゆっくりの頃から大事にしていたおリボンさん。 人間さんと話すために地面に置いたおリボンさんを、口に咥えなおそうとしたときの光景が。 端の方からボロボロと崩れ、ただの土くれのようになってしまった、変わり果てたおリボンさんの姿が。 そのおリボンさんの姿に、れいむの家族のお顔が重なります。 ボロボロに腐って崩れ落ちていく、大切な家族達の……… (ゆ……ゆああああああぁぁぁぁ!!!) れいむは、残されていた力の全てを振り絞り、橋の上から飛びました。 黒い視界の先に、太陽の光を反射してキラキラと光る水面が微かに見えます。 その光る水面が、まるでスローモーションの映像を見ているかのように、ゆっくりと近づいてきます。 (あかちゃんたち…ごめんね……おかあさん…もっとあかちゃんたちに……いっぱい…いっぱい…) (おねえちゃん……ごめんね…いもうとたちのめんどう……しっかりみてあげてね……) (まりさ…………ごめんね………れいむとまりさの…おちびちゃんたちを…………) 残される家族達に伝えたい事がたくさんあります。 でも、れいむの口からは声が出ません。 その時間も残されていません。 川の水面はグングンと近づき、もはやれいむの腐った目でも、 そこに映るれいむ自身の姿がはっきりと見えるようになりました。 (………!?!?) その姿を見たれいむの黒い目が驚愕に見開かれるのと、川面に大きな水柱が立つのはほぼ同時の出来事でした。 (ごめんねえぇ!! おちびちゃああん!! ごめんなざいいいぃ!! おかあさん しらなかったんだよ…!! ごべんねっ!! ごべんねえええぇぇ!!!!!!) 水面との衝突の衝撃で腐敗した饅頭皮のあちこちが破れ、急速にいのちの源の餡子が川に流れ出していきます。 薄れていく意識の中、れいむは最期まで、ただひたすら、謝り続けていました。 【PM 5 00】 「ゆぅ~ん…おきゃーしゃんたち…おしょいにぇ……」 「おにゃかしゅいちゃよ……」 ダンボールのおうちの中で、二匹の赤ちゃんれいむ達が、頬を寄せ合って寂しさと空腹に震えています。 いつもなら、もうそろそろ夕ごはんの時間なのですが、お母さんれいむも、お父さんまりさも帰ってきません。 赤ちゃん達のおなかが、ぐ~ぐ~と可愛い音を立てています。 「ゆぅ…しゅこちだけ…ちゃべちゃおうきゃ……」 「ゆ…おきゃーしゃんにおきょられちゃうよ…」 赤ちゃん達が昼間お母さんが持ってきたあまあまさんをじっと見つめます。 ただでなくてもお腹が空いているところへ、あまあまさんのいい匂いがおうち中に充満しています。 これでは生殺しです。 食べ盛りの赤ちゃんゆっくりに、我慢しなさいと言うのも酷な話でしょう。 案の定、赤ちゃん達は誘惑に負けてしまいました。 ずりずりと、甘い匂いを放つあまあまさんに近づいて行きます。 (や、やめてねっ! こっちこないでねっ! おねえちゃんをたべないでねえぇ!!) お姉ちゃんの子まりさが、声にならない声で必死に止めようとしますが、赤ちゃん達は止まりません。 「ゆう…ひちょくちだけにちようにぇ…」 「ゆん…」 ぱくん 「ゆ…ゆうううぅ!!! ち、ち、ち、ちあわちぇええぇぇええぇぇぇえぇ!!」 「あみゃあみゃああぁ!! ちあわちぇえええええええええぇぇ!!!」 (ゆぴいぃ!! いぢゃいっ!! やめぢぇっ!! たべないでええぇ!!) 「ゆううぅ!! こりぇしゅっごくあみゃあみゃだよう!! もっちょたべりゅよっ!!」 「むーちゃむーちゃっ! むーちゃむーちゃっ! ちあわちぇぇ~~っ!!」 おやおや。 赤ちゃん達の食い意地の強さはお母さん譲りのようですね。 一口だけの筈だったあまあまさんをパクパクと夢中で囓っていくではありませんか。 (やめでえぇ! たべないでっ! おねえちゃんだよっ!! どうしてたべるのおぉ!? あぎっ…! いぢゃいよおぉ!! ゆぎっ…! ど、どうじでっ! どうじでええぇ!? どぼじで いもーとも おかーさんも まりさをたべるのおおぉ?! まりさ あまあまさんじゃないよおおぉ!!!) お母さんれいむとまったく同じ姿をした子まりさがぷるぷると震えますが、 赤ちゃん達は構わず食べ続けます。 「ゆゆっ! こりぇ、ちゅるん!とちてておいちいよっ!」 「ゆーん…ほんちょだ! おいちいにぇぇ!!」 (ゆぴいいぃっっ!! まりじゃのおめめがああぁ!! にゃんにもみえないいいぃ!! もうやべでええぇ!! もうゆるじでえええぇ!! ごべんなじゃいっ!! あやまりまじゅ!! あやまりまじゅがらっ!! もうよそのおうちのごはんさんを かってにたべたりじまじぇんっ!! ちぇんがかえってきたら まりさ、ちゃんとあやまりまじゅがらああぁっ!! だがら もうやめでよおおぉぉ…!! たしゅけてええ!! おとうしゃあん!! おかあしゃああん!!) ◇ ◇ ◇ 「ゆぷぅ~…おにゃきゃいっぴゃいぢゃよお…」 「ゆ~ん……ゆゆっ!? あみゃあみゃしゃんちゃべちゃったよ!?」 「ゆ…? ゆううぅぅ!?」 「ゆえええん! おきゃーしゃんにおきょられりゅよおぉ!!」 何を今更という気もしますが、うっかりつまみ食いをしてしまった赤ちゃん達が慌て始めます。 それにしても、本当に赤ちゃん達はいっぱいあまあまさんを食べました。 ピンポン玉のようだった赤ちゃん達が、蜜柑ぐらいの大きさに膨れています。 最初は夏蜜柑ぐらいの大きさだったあまあまさんも、 今は赤ちゃん達と同じ、蜜柑くらいの大きさの塊しか残っていません。 「ゅぅ………」 「……ゅぇ……ゅぇ……」 赤ちゃん達はべそをかき始めてしまいます。 でも、大丈夫。 お母さんは赤ちゃん達を叱ったりはしません。 「ゆ……おきゃーしゃんがかえっちぇきちゃりゃ…いっちょにごみぇんにゃしゃいちよう…?」 「ゆん…しょうりゃにぇ……」 赤ちゃん達は素直に謝る事に決めたようですね。 悪い事をしたら、まずは素直に謝るのが一番です。 そう決めると、少しだけ安心したのか赤ちゃん達のお顔に小さく笑顔が浮かびます。 そのときでした。 ぱさ 「ゆ…れいみゅ…? なにきゃおちたよ……?」 【PM 6 00】 西の空が赤く染まり、夕日の中をカラスの群れが飛んでいます。 ぽいんぽいんと飛び跳ねながら、お父さんまりさがダンボールのおうちに戻ってきました。 よほど収穫があったのか、黒いお帽子をぱんぱんっに膨らませてニコニコしています。 「ただいまなのぜ!! ゆう~すっかりおそくなっちゃったのぜ!! でも、ごはんさんいっぱい……」 誰もお出迎えをしてくれません。 れいむも、お姉ちゃんの子まりさも、赤ちゃん達もおうちにいないのです。 「ゆ…? ど、どうしたのぜ…?」 静まり帰ったおうちの中で、大事な家族に何かあったのかと慌てるお父さんまりさでしたが、 見たところ、おうちに争った形跡などはありません。 少なくとも人間さんや、捕食種、他の動物さんなどに襲われたのでは無いようです。 暫くおろおろとしていたまりさでしたが、多分、ご近所のゆっくりのおうちにでも遊びに行ってるのだと思い直し、 少し待ってみることに決めました。 張っていた気が緩むとおなかが空いてきます。 一日狩りを頑張ったお父さんまりさのおなかは、もうペコペコ。 今日のごはんは何なのかぜ~と考えている内に、おうちの中に甘い匂いが漂っている事に気付きました。 まりさがキョロキョロと周りを見回し、おうちの隅に目を止めます。 そこには、蜜柑くらいの大きさの、甘い匂いのする黒い塊が置いてありました。 しかも三つも。 「ゆう…? なんなのぜ、これ…? ゆーん…おいしそうなにおいなんだぜ~… ゆゆっ!! わかったのぜ!! きっとかりでおつかれのまりさのために、れいむがよういしてくれたあまあまさんなのぜ!! ゆふふ~ れいむは、りょうっさいっけんぼなのぜ~!!」 三つの塊の内の二つがプルプルと震えていますが、まりさは気付きません。 あまあまの周りに少しゴミが落ちていましたが、こちらも気にしません。 大方れいむが今日のお掃除を明日やる事にしたから汚れているのだろう、程度にしか思いませんでした。 お父さんまりさは、嬉しそうにあまあまさんまで跳ねていき、あんぐりと大きなお口を開けました。 「それじゃあ えんりょなくいただくんだぜ!!」 ========== あとがき 実際には時限発火式だと使い勝手が悪いかなー、などと考えつつ。 by お説教されたいあき これまでに書いたもの anko315 『たくすぃー』 anko433 『ゆっくりで漬け物』 anko502 『ただ一つの』 anko572 『えーき様とお義母様』 anko621 『「餡子ンペ09」ゆっくりの電車』 anko751 『「餡子ンペ09」れいむ、俺の為に赤ちゃん産んでくれ』 ~anko753 anko768 『ゆっくり達のクリスマス』 anko1547 『まりしゃと遊ぼう!』 anko1630 『うつくしくってごめんね!』(餡コンペ10春) anko2056 『ねんがんのSuKimaモニタをてにいれたぞ!』
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『俺のペットのれいむちゃん』 7KB 虐待 現代 あとひとつで1週間連続更新……ふふふ ふふふ……あと一日で……1週間連続更新…… 「だから、生物上絶対に無理なんだって……」 「いや、絶対そんなことないだろ……」 俺は友人とあることについて1時間にもわたって議論している。 俺もこいつも、「それ」が好きで好きでたまらないのだ。 いや、まあ、うん。愛し方は人それぞれだけどね。 とにかく、それは愚かで馬鹿でどうしようもない、すばらしく愛らしい生き物。 誰が呼んだか、それとも自称したか。 人はそいつを、「ゆっくり」と呼ぶ。 「無理、絶対無理無理ムリムリかたつむりだ! ゆっくりをペットになんて、構造上不可能だ!」 「いや、できる!どうしてそこで諦めるんだ!もっとゆっくりしろよ!」 議論のテーマは、「ゆっくりは本当にペットとして成り立つのか」ということ。 たしかに飼いゆっくりというのは十分にメジャーな存在だが、問題が山積みだ。 権利の問題や、義務の問題。 ちょっとしたきっかけで、いやきっかけがなくともゲス化する。 去勢していても自分の子供を欲しがり、そして何かしらの問題を起こす。 とにかくゆっくりしたがる。 その問題を完全に排除し、完全にペットとして成立させることが本当に出来るのか。 俺は、「できる」と思う。 「よーしわかった!だったら俺がやってやる! 1週間後にまた来て下さい、本当のゆっくりをお見せしますよ!」 「ああ、やれるもんならやってみろ!」 俺は怒って席を立つ。 絶対に、俺が正しいことを証明してやる! 「……よしよし、準備完了」 俺は家に帰り、いろんな道具を揃えた。 これに加え、あとひとつで完全に準備が終わる。 俺はビニール袋の中から無造作にそれをほうり出した。 「ゆべえっ!」 「い、いたいんだぜええええ!!」 「ゆびびっ!」 帰路で無理やり捕まえたゆっくりの一家だ。 「れいむはしんぐるまざーなんだよ!あまあまよこしてしんでね!」 「ちんでにぇ!」 「ぷきゅー!」 おっと、いきなり威嚇をされてしまった。 ここは誤解を解き、俺になついて貰わないと。 「お前らは、今日から俺のペットとして頑張ってもらう。立派な飼いゆっくりになれよ!」 言葉を聞いた親れいむ、子まりさ、子れいむの3匹は、うねうねと謎のダンスを踊りだした。 「ゆ……ゆふふ、れいむのつよさとおちびちゃんのかわいさにおそれいったんだね!かわいくってごめんねっ!」 「「きゃわいきゅっちぇ、ぎょめんにぇぇぇーーー!!」」 ああもう。 ほんとにゆっくりって奴らは、潰したいほど可愛いな。 俺は子れいむをつまみ上げる。 「おしょらをとんでるみちゃーい!」 「ゆ?くそどれいがれいむのおちびちゃんにきやすくさわらないでね!せいっさいするよ!!」 この子れいむの嬉しがる顔、親れいむの威嚇する顔。燃やしたくなるよねぇ。 でも殺しちゃ駄目。少なくとも1週間後まで。 「まあとりあえず、ゆっくりペット化計画いってみよー!」 「はなしをきけええええええええええ!!」 まずは飼いゆっくりの基本、去勢だ。 「ぎゃああああああああ!!あづいいいいいいいいい!!」 「お、おきゃあしゃああああああああん!!」 れいむのまむまむ、それと額に根性焼きをする。 焼きごてがなかったので、仕方なく熱したフライパンで代用する。 フライパンの先っぽ部分をれいむのまむまむと額にくっつけ、焦げさせる。 人間ですら確実に泣き叫ぶ衝撃だ。ゆっくりからしたらショック死ギリギリのラインだろう。 「これで、もうれいむは死ぬまでおちびちゃんは作れないね!」 「ど、どぼじで……」 「だからこの子れいむのことを大事にしてあげてね!あ、でも今は預かっておくから。 逆らったらこいつを殺すからね!」 「や、やべろおおおおお!!がえぜええええええ!!」 「おっとぉ、いきなり逆らったね。じゃあ殺すね!」 俺は言うが早いか、子まりさを親れいむの目の前で握りつぶした。 「とりあえず子まりさの方を潰してと……」 子まりさをティッシュでくるんで握りつぶす。 手のひらの中でうねうねと動く感触がまた可愛い。 でも潰す。やったー! 「きゃわいいまりちゃにあみゃあみゃをもっちぇゆびゅうううううう!!」 ああ、死に際の悲鳴マジ可愛い……。 一方その頃親れいむと子れいむは、( ゚д゚)←こんな顔をして凍っていた。 「お、おぢびぢゃんがあああああああああ!!」 子まりさをいっときの躊躇もなく殺したことで、親に「人間の残酷さ」を植えつける。 「ぼ、ぼうゆるぜないいいい!!ぜいっざいしてやるううううううう!!」 当然のごとく向かってくるれいむを、俺は寝転んだまま右手一本で受け止める。 「や、やっやべりょっ!ぢゅっぢゅっぢゅぶれりゅうううううう!!」 そのまま握力で潰すが、もちろんそれでは終わらない。 「オラオラオラオラオラオラァ!」 「い、いだいいいいいいいい!!で、でもぎもぢいいいいいい!!どぼじでええええええ!?」 れいむは痛みを感じながら快感を感じている。 痛みを通り越して快感に変わるゥ、というやつだ。 と、ここでネタばらし。実はこのれいむ、前もっててんこ因子を注射しておいたのだ。 餡子の中に直接てんこの桃をぶち込む。 そのうち餡子に変換されはするが、口から食べたものではないので、うんうんとして放出されることはない。 「ゆ、ゆふふ……も、もっどいじめでねええええ!!たくさんでいいよおおおおお!!」 おお……きもいきもい。 ここは黙らせないと。 道具の中から、瞬間接着剤を取り出し、れいむの口の中にぶち込む。 「…………!!」 見事に喋れなくなったようだ。 「じゃあ、今日はここまでな。おやすみー」 れいむを加工所製品の「とうめいなぼうおんばこ」に入れて眠る。 レコーダーと一緒に。 リピート再生ボタンを押し、蓋を閉める。 ちなみに、録音されている音声は俺の声だ。 俺の声で、ある言葉を録音してある。 「れいむはこそだてができないからおちびちゃんはほしくありません、 れいむはこそだてができないからおちびちゃんはほしくありません、 れいむはこそだてができないからおちびちゃんはほしくありません、 れいむはこそだてができないからおちびちゃんはほしくありません、 れいむは……」 レコーダーから延々発信される音声に、れいむはぶりんぶりんと尻を振り、顔を歪ませていた。 狭い箱の中なのでよく響くだろう。 喋れないから、自分の声で打ち消すこともできない。 (ゆがああああああああああああ!!うるさいいいいいいいい!!ねむれないいいいいいいい!!) ゆっくりおやすみ、れいむ。 そうして、1週間がたった。 「で、これか。お前の答えというのは」 「ああ、これだ。これこそが、完璧な飼いゆっくりさ!!」 ゆっくりをペットには決してできないと言った友人の目の前には―― 俺の命令はなんでも聞き、 おちびちゃんを欲しいと言うこともなく、 人間に文句を言うこともなく、 それでいて、俺に心から懐いているれいむがいた。 「……どうやって作ったんだ?」 「ふふふ、それはな」 初日以来、俺はれいむを徹底的にいじめてあげた。 てんこ因子を持っているれいむからしたら、軽い痛みは快感だ。 れいむはだんだんと、俺を「いじめてくれるご主人様」と思うようになった。 しかし、ここで問題が発生する。 てんこ自体を飼う時によく起こる問題なのだが、わざと悪いことをし、お仕置きを欲しがるのだ。 それを見越して俺は子れいむを残しておいた。 「お前、この失敗はわざとだな。だからお前ではなく、子れいむにお仕置きをする」 てんこ因子を持っていない子れいむは心底苦痛を感じ、それを見ている親れいむはれいむ特有のぼせいから心底悲しむ。 ゆっくりがするわざとの失敗と本気の失敗を見分けられないほどに、人間は馬鹿ではない。 喋れない親ゆっくりは否定することもできないから、人間側に間違いがあったとしても、れいむはただわざと失敗しないようにしようとするしかできない。 れいむにとって本来上下関係の象徴であるお仕置きこそが、上下関係をわきまえた時にもらえるご褒美であった。 「……で、こうなったのか。飯はどうすんだ?」 「オレンジジュースを口元の上あたりから口内に直接注射する。ゆっくりは元々空腹とか全部気のせいだから問題ない。 ほら、れいむ、3回回ってジャンプしろ」 れいむは俺の言いつけ通り、3回回ってジャンプした。 口で感情を表すことはできないが、目で笑っている。 「よしよしよく出来た、ビンタしてやるぞー」 「……なんかなあ、こう見てるとお前HEN……いや、なんでもない」 何か友人が言いかけたが、途中でやめた。 なんだ、俺のこの完璧な結果を見て何が言いたいんだ。 「……で、ところで俺にはものすごく言いたいことがあるんだが」 「ん?何だ?」 「……これ、もうゆっくりじゃなくね?」 ……たしかに。 It s a happy end !! 終正あきでした。 感想などあればこちらに…… http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1297751802/l50
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ドン [(スペイン) don] 首領。親分。実力者。 ※ ※ ※ ※ ※ ドン れいむ ※ ※ ※ ※ ※ ここは森の外れにあるゆっくりの群。 人里から離れていることもあって人との諍いは遠く、守護者が見守っているお陰で捕食 種や山犬等の獣たちからの被害も極力抑えられていた。 守護者――つまりは、『ドス』という尊称を頭に着けることを許されたゆっくり。 緩やかにウェーブのかかった長い金髪に片方の頬にかかる三つ編み。頭に乗せた飾りは 白いリボンをあしらった鴉の羽根より黒い鍔広のとんがり帽子。その姿は見上げるほど大 きくなったとは言っても、『まりさ』と称するゆっくりの一種だった。 穏やかなほほえみで駆け回る子供のゆっくりたちを見守るその姿は、ゆっくりでなくと も実に『ゆっくりとしている』ように見える。そして、そのドスまりさの姿を見る群のゆ っくりたちもまたゆっくりした気分で日々を過ごしていた。 ただ、一匹のゆっくりを除いては…… ※ 「ふこーへーだよ!」 おうちにしている木の根の穴蔵に入ってくるなり開口一番飛び出した台詞がこれであった。 もっとも、それを聞いたこのおうちの家主であるぱちゅりーは、またか……、としか思 わなかった。 ぱちゅりーのおうちに転がり込んで早々にがなりだしたのは、しばらく前から不平不満 を垂れ流して群でも疎まれているれいむだ。ドスや賢い大人たちの指示で群では相手にさ れなくなってきたために、数日前から篭もってばかりで逃げ場のないぱちゅりーのおうち に押し掛けるようになったのであった。 非常に残念なことに、群の相談役という立場上ぱちゅりーまでもが無視するわけにはい かなかった。 「まりさばっかりひいきだよっ! れいむだってみんなにめーれーしたいんだよっ! ぱちゅりーはれいむをえらくしてねっ!!」 「むきゅ、なら河原でりーだーのお勉強をやってるわ。れいむもそこでお勉強したらどう かしら?」 確かにれいむの言うとおり、群ではまりさたちが先頭に立って他のゆっくりたちを指導 することが多い。だがそれは先達からきっちりと生き抜くための術を教育されたからでき ることである。生活に必要不可欠のことすら学ばず、のんべんだらりと過ごしてきたれい むでは役立たずも甚だしい。 だというのに、れいむはぱちゅりーの苦言を一笑に付した。 「おべんきょーなんてひつようないよっ! れいむはかしこいんだよっ!!」 「……3たす2は幾つかしら?」 「ゆ? なにわけのわからないこといってるの? ばかなの?」 「むきゅ~……」 延々とこの調子である。 れいむが連日言い続けてきたことを要約すれば、偉くなりたい、命令したい、ちやほや されたい、けど面倒なことはしたくない。そんな都合のいい話があるものか、とぱちゅり ーは思うがそれを直接言えば癇癪を起こすのが目に見えている。 とはいえ、それもこれもここ数日間、朝から晩まである。さすがに辟易してきたぱちゅ りーからぽろりと本音がこぼれ落ちてしまった。 「狩りもお勉強もしないでえらくなれるわけないでしょ、このおばか……む、むきゅ!?」 あ、と思ったときには本音をしっかりと口にしていた。 暴れられる。 このれいむは狩りにも参加しない、見回りにも協力しない、食っちゃ寝ばかりのぐーた らゆっくりではあるが、親の過保護のお陰で元来虚弱で小柄なぱちゅりーとは比較になら ないほど体格が良い。上にのしかかられて、一度でもピョンと跳ねればひ弱なぱちゅりー など潰されてしまうに違いない。 しかし、退路はない。おうちはお饅頭サイズのぱちゅりーなら何匹か自由に遊び回れる くらいの広さがあるとは言っても、その奥に座っている以上ここは袋小路に相違ない。 ゆっくりらしからぬ思考回路で進退窮まったことを理解したぱちゅりーは、せめて一思 いに永遠のゆっくりへ旅立てるようにと願いながら目を閉じた。 「ゆふっ、ゆっふっふふ……」 「……むきゅ?」 ところが予想した衝撃はいつまで経っても襲ってこない。それどころか、怒り狂ってる とばかり思っていたれいむからとても楽しげな笑い声まで聞こえてきた。 不思議そうにそぅっと目を開けて見ると、そこにはとってもご機嫌な、そしてあからさ まにこちらに見下した眼を向けるれいむの姿があった。 れいむに見下されるのはとってもゆっくりできないことではあったが、今は命があるだ けでも儲けものだった。 ぱちゅりーがこっそり安堵のため息をついていることには気づかず、れいむはにやにや 笑いながらぱちゅりーを嘲る。 「かんがえてみたらかんたんなことだったよっ! むれのけんじゃ、なんていってるのに ぱちゅりーはおばかだね! えらくなるのにべんきょうもれんしゅうもひつようなんてな いんだよっ!」 訝しげな表情を浮かべたぱちゅりーが口を開くより早く、れいむは『えらくなるほうほ う』を高らかに宣言した。 「おっきくなれば、みんながちやほやしてくれるりっぱなりーだーになれるんだよっ!!」 『ドス』という存在の見てくれのみを見てきたれいむの辿り着いた結論。 ぱちゅりーは、ただただ深くため息を吐いた。 ※ お饅頭サイズのぱちゅりーの前で、鏡餅(下段)サイズのれいむが「ゆっへん」と反り 返る。ゆっくりに張る胸がないから仕方ない。 「おっきくなれば、れいむだって『ドス』になれるよっ!」 大きさと強さや偉さがイコールで考えられているゆっくりとはいえ、単純に大きくなれ ばドスに成れると思っているゆっくりは――実のところ少なくなかったりする。それでも このぱちゅりーには、それが荒唐無稽な話だと理解していた。 一瞬前まで小馬鹿にしていた瞳を希望で満たしたれいむに、呆れた表情を浮かべたぱち ゅりーは簡潔に応えた。 「……れいむ、ドスになれるのはまりさだけよ」 「ゆがーん!?」 ぱちゅりーたちは脆弱なゆっくりの中でも極めて貧弱な部類に入る。 力は弱く、体力は乏しく、お肌の張りは成長しても他種のあかちゃんに匹敵する柔さで ある。そんな欠点だらけのぱちゅりーたちであるが、それらを補うのがゆっくりの中でも 群を抜く知識である。ごほんを読み、様々な話を聞いて多種多様な知識を仕入れることを 好み、忘れっぽいゆっくりでありながら記憶力も悪くない。ただし、その知識を知恵にで きるぱちゅりーは極めて希少ではある。 このぱちゅりーは、そんな数少ない知恵者の一匹だった。 「ぱちぇはこの群にくる旅のゆっくりから色んなお話を聞くけど、まりさ以外のゆっくり がドスになったお話なんて聞いたこと無いわ」 ドスまりさに似た存在ならばクイーンありすだろうか。何にしても巨体となったれいむ の存在は一度も耳にした覚えはない。いや、一つあったか。 「れ、れいむはいっぱいむーしゃむーしゃしていっぱいすーやすーやしてるよ!? おと ーさんもおかーさんもそうすればおおきくなれるっていってたよっ!? それにむれでれ いむよりおっきなゆっくりはドスしかいないよ?」 「それはおデブさんになっただけよ」 「ゆがーん!?」 一度死を覚悟したためか、ぱちゅりーの切り返しには迷いがない。『でいぶ』という 蔑称を使わなかったのがせめてもの優しさだった。 態度の割に繊細なれいむはショックの余り数分間放心してしまった。そして目覚めると 持ち前の忘却力を駆使して気を取り直し、再度ぱちゅりーに訊ねた。 「それじゃあぱちゅりー、れいむがえらくなるほうほうをおしえてねっ!」 「むきゅ~、そこに戻るのね……」 そんなれいむの態度にぱちゅりーは溜息しかでない。 幸いにも命を落とす事態にはならなかったが、事実を突きつけても忘却してしまっては 意味がない。結局は堂々巡りが続くのだろうか。そう考えるとぱちゅりーはゆっくりでき ない気分に陥った。 そんな時、不意にぱちゅりーは以前旅のゆっくりから聞いた噂話を思い出した。 「そういえばあまりにもありえないから忘れてたけど……」 「ゆ? れいむがえらくなるほうほう? しってるならゆっくりしないでおしえてねっ!」 即座に食いついてきたれいむにちょっと引きながら、それでも言うか言うまいかぱちゅ りーは悩んだ。しかし、じりじりと近寄ってくるれいむの圧力に負け、しぶしぶ口を開いた。 「むきゅぅ……れいむ、『ドン』って知ってるかしら?」 「どん? ドスじゃないの?」 「むきゅ、違うわね」 「ならしらないよ! ぱちゅりーはゆっくりせつめいしてねっ!」 「ゆっくり説明するから少し下がってちょうだい……潰されそうでゆっくりできないわ」 ずずいと近寄るれいむを牽制し、ぱちゅりーは餡子に記憶した噂話を思い返した。 「ドンというのはたくさんのゆっくりたちの頂点に立つ、ドスよりもクイーンよりもゆっ くりとした、すべてのゆっくりを従えるゆっくりなのよ。そしてドンはれいむたちの中か らしか選ばれないって、旅のみょんが教えてくれたわ」 「ゆゆっ!! ドスやクイーンよりもえらいのっ!?」 「むっきゅん。そう聞いたわよ」 「れいむがえらばれたゆっくりなのっ!?」 「むきゅ、それはわからな……れいむ、お願いだから下がって、こっちこなむぎゃーっ!!」 「ゆーっ♪ れいむはすごいよっ! れいむはドンれいむだよぉっ!!」 にじり寄る巨体に押し潰されそうになったぱちゅりーの悲痛な叫びも耳に届かず、れい むは自分勝手な妄想で歓喜に打ち震える。 ところがふと、肝心なことを聞いてないことに気付いた。 「ゆ? それでどうすればれいむはドンになれるの? もうドンなの?」 「お……おじえるがら……どいで……むぎゅぅ……」 幸いなことに、ぱちゅりーが壁とれいむに圧殺される寸前であった。 ※ 群のあるゆっくりぷれいすからお日様が昇る方へひたすら真っ直ぐ進んだ先にある森。 その森の奥に、まるでお月様を半分に割ったような綺麗な『椅子』がある。 その椅子に座った者は、総てのゆっくりから尊敬される至高のゆっくり、『ドン』にな ることができる。 しかしその椅子に座ることが許されるのは唯一、れいむだけであるという。 息も絶え絶えなぱちゅりーから漸く聞き出した情報を元に、れいむは旅に出た。 ありったけの食料だけを持ち、泣いて追いすがるおとーさんと悲痛な声で呼び止めるお かーさんを振り切り、悲しみと寂しさをグッと堪えて、れいむは初めて群の外へと飛び出 した。 一度だけ振り返ったゆっくりゆっくりぷれいす。ぱちゅりーだけが満面の笑みで見送っ てくれていた。 れいむはゆっくり旅をする。 あさひさんが昇って暖かくなってから目を覚まし、ご飯をしっかり食べてゆっくり食休 みをとって跳ね出した。 疲れたらお昼の時間。食べ終わったら草むらの上ですーやすーやお昼寝。起きたらゆう ひさんになっていた。 背の高い草を寄せて捻っててんとさんの完成。おうちほどゆっくりはできないけれど、 とりあえずはこれでがまん。こんなてんとさんの作り方しか知らないなんて、まったくぱ ちゅりーはゆっくりしてない。 ご飯を食べたらてんとさんに入って、明日に備えてゆっくり寝ることにした。 れいむはゆっくり旅をする。 旅のみょんは二回ゆうひさんを見るくらいで着いたとぱちゅりーは言っていたけど、れ いむが森に辿り着くまでにたくさんたくさんゆうひさんを見た。きっと、旅のみょんは大 げさにぱちゅりーに教えたんだろう。 そうしてれいむは森の奥へと辿り着いた。 森と言うには木々は疎らで、見上げれば空もよく見える。その代わり、生えている一本 一本の木がとても巨大だった。巨体のドスでも後ろに隠れることができそうな木など、れ いむはこれまで見たこともなかった。 そんな巨木の森を進んだ先に、果たして噂に聞いた『ドンの椅子』はあった。 「ゆ~……やっと……やっとみつけたよ……っ!!」 苦難の果てに踏破したドンへの道。 なめらかな白い光沢を湛えた、まるでお月さまの上半分を切り取ったような半円の『ド ンの椅子』。巨木の根本にそっと据え置かれたその姿は、ぱちゅりーから聞いた姿と一致 する。なにより、その縁には書いてあるのだ。 『どん れいむ』と。 「れいむがっ! れいむがドンだよぉおおおおおおおおっ!!」 まったく疲れても傷付いてもいないあんよに鞭打ち、れいむは飛び上がった。 そして何事も無くドンの椅子へと着地した。 椅子の内側は丸くくぼんでいて、れいむの躯をすっぽりと包み込んだ。その座り心地、 安定感はゆっくりしていると言わざるを得ない。このジャストフィットしている感覚は、 この椅子がれいむのために用意された物だと思わせるに十分だった。 「ゆっふぅ~ん♪」 目を閉じてドンの座の座り心地に酔いしれるれいむ。 これでれいむはゆっくりの中で、最高にゆっくりした、一番偉いゆっくりになれたのだ! この姿を群のみんなに、おばかなぱちゅりーに、偉ぶってばっかりのドスに見せつけて やろう。なんと言ってもドスなんかより、このれいむの方がゆっくりしているのだから。 この姿を見れば、涙を流して喜びながられいむをゆっくりさせるに違いない―― 陶酔するれいむの餡子には、そんなバラ色の未来予想図が描き出されていた。 輝ける妄想とドンの座の座り心地を時間をかけて存分に堪能すると、カッと眼を見開い て大音声で宣言した。 「れいむはドンれいむだよっ!! ゆっくりしていってねぇええええええええっ!!」 「…………」 すると、れいむの大音声で目を覚ましたゆっくりとバッチリ目が合った。 巨木の蔭に隠れて見えなかったが、ドンの椅子から見上げると真っ正面にそのゆっくり の顔があった。 「……ゆ? ゆゆっ!?」 直視していたのは真っ赤な双眸。視線を上げてゆけば緩やかにウェーブのかかった桜色 の髪があり、その上には三角形の白い布の付いた水色の帽子があった。 「ゆっゆっゆっ……っ!」 そして視点を引いて全体を見れば、巨木でなければ隠れようのない巨体。 そのゆっくりはにっこりと邪気のない笑みを浮かべると、友好的に挨拶をしてきた。 「こぼね~♪」 「ゆゆこだぁあああああああああああああああああああああっっ!?」 れいむは絶叫で返した。 まあ、捕食種を目の前にしたゆっくりとしての反応としては当然ではあった。ところが その時、れいむの餡はぱちゅりーの言葉を思い出した。 『ドンというのはたくさんのゆっくりたちの頂点に立つ、ドスよりもクイーンよりもゆっ くりとした、すべてのゆっくりを従えるゆっくりなのよ……』 「れ、れれれいむはドンだよっ! ドンなんだよっ! ドンれいむだよっ!! ゆっくり ならドンのめーれーをきいてねっ! ゆゆこはちかづかないでねっ! くちをひらかない でねっ? すいこまないでねっ? れいむをたべたりしないでねっ? ゆゆこはゆっくり できないからどっかいってねぇええええええええええええええええええええっ!!」 総てのゆっくりはドンの言葉を聞けとばかりに、深い森を震わせる大号令を発す。 ドンは総てのゆっくりを従えるゆっくり。ならば、たとえゆゆこであろうともドンには 逆らえるはずがない。 恐怖の涙が溢れる眼を見開いて、れいむはゆゆこに命じた。 その言葉を聞き、ゆゆこはれいむに近寄り、口を開き、深呼吸でもするようにれいむを 吸い込み、ゆっくりと咀嚼した。 「こ~ぼね♪」 そうして空になった『ドンの椅子』だけを吐き出すと、舐めて綺麗にしてから元の位置 へと置いた。ゆゆこもまた元居た位置へと戻り、食休みに入った。 からんころんと回るドンの椅子。 縁には文字が書かれているのが見て取れた。 縁に沿うように全部で三カ所、同じ文字が繰り返し書かれていた。
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黒あき(仮)です 他に名前被ってなきゃ幸いです ぬえで人間黒投下して削除に至りましたので、罪滅ぼしに虐げられる事が多いのでれいむ無双です 管理人さんもうしません ごめんなさい はじめに 下記内容が不快に思われる方はお控え下さい ※うんしーエクソダスゴールド(豊田監督Ver)が多少あります ※前半は平仮名ばかりなので、目や前頭葉が痛くなる人(自分です)は避けたほうが無難です 3D酔いに似た症状で癲癇になる人も居るそうです 画面の輝度を下げるか字体サイズを大きくすると多少緩和されるそうです ※人間の存在がない世界感です ※当然ですが駄文です ごめんなさい ※毎度毎度の事ですが、風呂敷を広げすぎて収束できてません ごめんなさい ※謝れば許されると思ってるのか?と思われた方、ごめんなさい ※言葉遣いが悪いのは芸風だと思って頂ければ幸いです ごめんなさい 「れいむ文明」 ケース1 「むきゅ、くぬぎさんのしたにすんでたまりさが さいきんみあたらないのだけど」 「ありすがしってるわ。つがいのれいむがにんっしんしてから、ばしゃうまのようにはたらかされて、そのうえ ごはんをあたえられずに、えいえんにゆっくりしちゃったのよ」 「ゆゆっ、れいむはわるくないよ!まんぞくにかりもできないまりさがわるいんだから、じごうじとくだよ!!」 「むきゅ、れいむ、あなたたしか れいむとまりさをさんびきづつしゅっさんっ したわよね?」 「ゆゆっ、れいむのおちびちゃんは れいむによくにたこだけだよ!」 「・・・れいむ、あなたまさか・・・」 「へんないいがかりはよしてね!ごみくずくそむしこえだめありすのくせになまいきだよ! れいむはしんぐるまざーなんだよ!かわいそうなんだよ!しょたいももてないれいぱーはゆっくりしんでね!!」 (むきゅ、ゆーざいね) ケース2 「むきゅ、いわのしたのちぇんのおうちに、いつのまにかやどなしれいむがすんでいるわ」 「まりささまがしってるのぜ。あめさんのひに、れいむがむりやり あまやどりにちぇんのいえにはいったんだぜ」 「ゆゆっ、そうだよ!そこでれいむは ちぇんにむりやりすっきりーさせられて、てごめにされたんだよ」 「そのわりには みおものちぇんが なきながらかりにいくのを、むれのみんながみてるのぜ」 「ゆゆっ、いやがるれいむをてごめにしたんだから、とうっぜんだよっ!れいむはかわいそうなんだよ!」 「「ゆゆゆ????れいむがてごめにされて ちぇんがにんっしん??」」 「・・・むきゅ、それでちぇんはどこにいったのかしら?」 「まんげつさんのよるのひに、ちぇんと ちぇんのおちびちゃんのひめいをきいたのぜ。 れいむとれいむのちびのわらいごえもきこえたのぜ。それからちぇんと ちぇんのおちびちゃんはすがたをけしたのぜ」 「むきゅ、まんげつさんはさくばんね」 「ゆゆっ!ふらんとれみりゃがたくっさんきたんだよ!れいむはひっしにたたかったよ!でもたぜいにぶぜいだったんだよ!!!」 「むきゅ、もういいわ。(ゆーざいね)」 ケース3 「むきゅ、よこあなのまりさ、せいかつはうまくいってるかしら?」 「ぱちゅりー、しんぱいしなくてもだいじょうぶだよ!まりさがかりをして、いとしいれいむが とてもゆっくりしたこそだてをしてくれるから、 もう2かいもふゆさんをこせたんだよ!」 「ゆゆーん、まりさったら。。。(ポッ」 「ビキッ)・・それはそうと、まりさににたこは こんかいもだめだったのかしら?」 「ゆゆぅ、そうなんだよ、まりさににたこは これまでいっかいもうまれてないんだよ」 「ゆぅ、まりさ、つぎがんばればいいわ!れいむはいつまでたってもまりさのつまですからね(ポッ」 「ピキピキ)・・ぱちゅは いだいなもりのけんじゃだから かずがかぞえられるのだけど、はるさんからこれまで、あなたたちは よんじゅうはちかいも れいむしゅばかりうんでるわね」 「「ゆゆ、たくさんのかずはかぞえられないよ!!」」 「そうね、まりさがきのみさんだけをかりであつめたとして、みっかであつめられる すべてのりょうとおなじくらいね」 「ゆゆっ!そんなに!?」 (むきゅ、もうしわけないのだけど、ゆーざいね) その夜、いや、数日前から長ぱちゅりーは悩んでいた。2年前に隣の群れから若ゆっくりだけでこの肥沃な土地に移り住んできたのだが、 当初各種1~2匹づつだった集団が、いつのまにか れいむ種ばかり目に付くようになってきたからだ。 確かにでいぶも存在したし、無意識のうちにれいむ種ばかり優遇する母親もいた。しかしそれらは本来れいむ種だけの問題ではないはずだ。 狩りがゆっくり界でもドベ2とダブルスコアくらい離れてレベルの低いれいむに、母親役を任せるのは仕方の無い事なので、 そういった問題がれいむ種ばかり目に付くと長ぱちゅりーは考えていた。 しかし、春からの追跡調査の結果、ゲスやでいぶでないれいむ種との番には、8~9割がた れいむ種ばかりが生まれてくることが確認できた。 「むきゅ、これはもう・・・やるしかないわね」 長ぱちゅりーは、ある決断をした。しかし、考えに耽っていた長ぱちゅりーは、巣穴の入り口に迫る影に気付くことはなかった。 翌朝、広場にあるおおきな石の前には、無残にも幾らかの断片となった長ぱちゅりーの死骸が散らばっていた。ご丁寧に中身は全て消えている。 「だ、だれがこんなひどいことをしたんだぜぇぇぇぇ!!」 「こんなのとかいはじゃないわ!!」 「わからないよーー!」 慌てふためくまりさ、ありす、ちぇん達と比べ、れいむ種は須らく自らの群れのリーダーの死骸を無表情で見下していた。 「ゆ!れいむは しってるよ!さいきんのおさはゆっくりしてなかったよ!これはえんっこんのせんがこいよ!!」 「ゆ!れいむが しってるよ!きのうれいむのびまりさに ちょっかいをかけにきたんだよ!まりさに にたこがうまれないのを れいむのせいにしてたんだよ!!」 「ゆ!れいむのところにもきたよ!ちぇんがむりやりすっきりーしたのに、れいむをうたがいの めでみてたよ!」 「ゆ!れいむもだよ!むのうなまりさが えいえんにゆっくりしたのを、れいむのせいだといわんばかりに ひなんされたよ!」 れいむ達は、ほとんど自ら白状している事にはまったく気付かず、それがれいむ種の潔白を示していると思い込んでいる。 しかし、他のゆっくり達には、長を殺した犯人達を特定させるに充分たる発言だった。 「れ、れいむ、そういえば きのうのばんおそとに・・」 「そういえば うちのれいむもでていったんだねー」 「むきゅ、さくばんれいむがしゅうだんで おさのおうちにはいっていくところを みたのだわ」 れいむ種以外のゆっくり達で広場はざわめき、れいむ達を疑いの目で見始めた。一方、先ほどの平静さを失ったれいむ種達は、額に青筋を立てて唸る。 「「「「「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ」」」」」 「れいむぅ、まりさのれいむは けっぱくっだよね??」 横穴のまりさがこの状況下で尚、己の番を信じたくて、ただ一言やってないと聞きたくて問いかける。 しかし、愛する番から放たれた次の言葉は、まりさの期待していた言葉ではなった。 「そうだよっ!れいむがれいむたちとおさをグズグズになるまでひきずりまわしたよ!くそまずいおさだったよ!ケケケケケケケケケケ!!!!」 「ゆゆ!れいむぅなんでえ??」 驚嘆するまりさと、同属殺しにさらにざわついた広場で、どこかのれいむが叫んだ。 「けっていっだよっ!!れいむたちいがいはぜんぜんゆっくりしてないよっ!せいっさいだよ!!」 「「「ゆゆゆゆ!?」」」 1時間後、肥沃な土地の群れはれいむ種だけとなった。 広場では他のゆっくりの死骸をれいむが貪り、腹に収まりきらなくなれば糞をひり出しながら、涙と涎と食べかすにまみれた顔面全体で咀嚼を続けた。 あるれいむはひり出した糞の長さを競い、あまりの長さに糞と気付かぬれいむが糞に食らいつき、その甘さ加減に歓喜の失禁をする。 さらにその尿で出来た泥水に赤れいむが群がり、顔を突っ込む。 れいむが踊り、れいむが歌い、れいむがれいむと酒池肉林、狂楽快感の限りを尽くし、そして翌朝には150匹の赤れいむが産まれた。 どこぞのれいむが言った「これはれいむ ぶんっめいのよあけだよ!!」 しかし、1週間後には実に1000匹のれいむが構成していたれいむ文明は、当然の事ながらキャパシティオーバーとなり、 肥沃な土地を荒れ野原に変え、隣の群れと土地を襲い、そこも枯れ果てるとさらに隣の群れへ、土地へと進出していった。 そして爆発的に増殖していったれいむは、しかし3ヵ月後には地上から跡形もなく消え去っていた。 地球上の餌となり得る動植物を全て食い尽くし、壮絶な共食いの果てに。 飲み込んだ植物の種すらも餡子に変えられてしまった為、世に存在した大半の植物と昆虫は絶滅し、食物連鎖の崩壊に 肉食獣も草食動物もこの世から姿を消し去った。 大地は高山を除き悉く餡子で汚染され、雨によって海に流された餡子によって地球規模の赤潮が大発生した為、海に住む生物も殆どが絶滅した。 再び元の生態系に戻るには、また海から陸へ上がる生物の出現まで待たねばならないだろう。 骨格を持たないゆっくりは、通常下では化石になることすらなく、永遠に歴史から消え去ってしまったのだ。 何も無くなった大地に、ただ風だけが吹いていた。 ※もしかしたら原油はれいむ達が時間を掛けて沈殿して・・・いや、なんでもない。
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赤ちゃんガイジ(中国語表記 婴儿狂人とは、本シリーズの主人公である。 絵文字は「🥺」 概要 人間ではない何かの卵生動物であり、マレーシアの熱帯雨林が起源と言われている。 人間からは犬猫以下の家畜として認識されており、よく虐待や調教されている。 雌雄の概念が無く、その為性交する事もない。 鶏と交配させたひよこガイジと、ジジイガイジが亜種として存在する。 性格 とにかく泣き虫。 また、自分が一番大切と自己中心的な所もある。 趣味は食べる事、寝る事、うんちする事と、まさに赤ちゃんである。 その他 食用、虐待ペット用、労働用の三種に分かれている。 身長は80cm、体重は25kgある。 山岳地帯では赤ちゃんガイジタクシーとして人を乗せる。 関連リンク 🥺赤ちゃんガイジの紹介🥺 – 参考にしたスレ コメント欄 名前 コメント
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靴底が雪を踏む感触は、独特だと思う。 冬のとある日。 滅多に雪が降らないこの地域がここまでの大雪に見舞われたことなど、何年ぶりだろう。 見渡す限りの白、白、白。 まさしく銀世界と呼ぶに相応しかった。 吐き出す息は白く、一晩雪を降らせた空は、それが嘘のように青い。 雪が日光が照り返し、普段よりも明るく見える。 恐らくこの感情は幾つになっても変わらないのだろう。 処女雪が未だ残る道を、一人歩く。 後に残るのは足跡だけ。 こんな楽しみを味わえるのも、今の内だけだ。 やがて、近場の空き地に辿り着いた。 見慣れた光景が、今日は目に痛いほど白い。 「……行くぞーっ!……」 「それっ……!……」 「………うわーっ……」 ふと見てみると、空き地には既に人影があった。 遠くからでも分かる、子供の背丈。 それが5つ。元気に動き回っていた。 手にした雪玉を次から次へと投げる、雪合戦。 彼らはそれに興じていた。 やはり雪が降った日の遊びと言えばこれなのだろうか。 いつになっても変わらぬものがある、というのは嬉しいと思う。 そのまま呆と立ち、彼らを見つめる。 ―――子供は風の子。元気な子、か。 近年云われている「運動力の低下」など、今この場には似つかわしくなく目の前には雪玉が 「ぢゅびゅ」 「ッ!?」 顔面に衝撃。 視界に弾ける白。 そして、どこか場違いな悲鳴。 一瞬の動転の後、脳はこの事態の原因を調査する。 ――前後を総合するに、俺はどうやら顔面に雪玉を食らったらしい。 弾き出された結論は、極めて簡素なものだった。 成る程、分かり易い。 案山子のように突っ立っていた男に、偶然飛んできた雪玉が、偶然当たる。 何一つ不思議など無い。 「す、すみませーん!大丈夫ですかー!?」 雪遊びに興じていた5つの影が、こちらに走り寄ってくる。 先頭は元気そうな男の子だった。中学生ほどの大きさだろうか。 おそらく、先の1球は彼が誤って投げてしまったのだろう。 その後に続くのは、身長、年齢もまちまち。 明らかに小学校低学年と分かるような女の子や、中間程度の背丈を持つ子供もいる。 兄妹なのだろうか?だとすれば納得もいく。 彼はこちらを見るなり、頭を下げてきた。 後ろの子供達も同じように謝ってくる。 「あ、あの、ごめんなさい!俺達以外には誰もいないと思ってたから、ついうっかり……!」 「……いえ。大丈夫です。別段、怪我をしたような事もありません」 言いつつ、直撃した額に手を伸ばす。 礼儀正しい少年だった。 元より怒るつもりなど毛頭無いが、これでは尚更怒る事など出来そうに無い。 人にすぐ謝れるというのは美徳だ。 俺も出来ることならば、そうした人間でありたい。 そう思いつつ、額を撫でた手のひらを見遣る。 やはり怪我などしていない。そこには僅かに残った雪と、 何か黒いものが、べったりとこびり付いていた。 「………!?」 仰天する。 何だ、これは。 「あっ、大丈夫です!それ、変なものじゃありませんから!!」 俺の様子に気付いたのか、少年は慌てて付け加える。 この黒い何かは、彼の仕業なのか。 「これは……雪玉の中に、何かを?」 思わず、問うた。 彼は曖昧に頷きながら、申し訳なさそうに告げる。 「……はい。それ、中にゆっくりが入っていたんです」 「昨日の夜の内に雪合戦やってたんですけど、あいつらが『これだけじゃつまらない』って言って。 だから中にゆっくりを入れてやってみれば面白くなるんじゃないかって」 「………成る程」 額の汚れを拭き取りつつ、少年の話を訊いてみた所によると、どうもそういう事らしい。 「宜しければ、もう少し『それ』の事についてお教え下さい」 「え?………あ、はい」 訊けば、つい先程の一球で特製雪玉は無くなり、またこれから作るのだとか。 「良ければ自分にも、その雪玉を作らせて貰えないでしょうか」 「え、ええ!?………いや、いいですけど」 快諾を頂いた。 実に有難かった。 「実際作ってみると結構面白いんですよ、コレ」 少年に連れられ、やって来た空き地の中央。 そこには彼らと不釣合いな程に、巨大なバケツが置かれていた。 「ぶつかったらちゃんとそこが黒くなって分かるし、ペイント玉、って感じで。 それに作ってみてから気付いたんだけど、こいつらぶつかった時に悲鳴上げて、それが面白くって」 バケツの中を覗き見る。 ……ああ。予想はしてたが、これは、 「ゆ゛ぁ゛ぁぁ!!れいみゅまじゃちにたくにゃいぃぃぃぃ!!」 「ごろしゃにゃいでえぇぇぇぇ!!!!」 「まりじゃよりあっぢのれいみゅをやっぢぇね!!まりぢゃをたぢゅけでにぇ!!」 「どぼちてじょんなこというにょおおおぉぉぉ!!?」 「ゆけっ!!ゆけけけけっ!!ちぬぅ!!みんにゃちんじゃうぅ!!ゆきゃきゃきゃきゃ!!!」 分かり易い程の阿鼻叫喚だった。 バケツの中にはぎっしりと詰められた赤ゆっくり達が、もがき苦しんで泣き喚いている。 「これ程の赤ゆっくりを、一体何処から?」 「うちの兄ちゃんが甘いもの好きで、ゆっくりを沢山飼ってるんです。 だからその中のれいむとまりさをちょっと借りて、こうやって増やして」 少しばかり自慢そうに、手を擦り合わせるゼスチャーをする少年。 これ程の量を生産すれば、母体もただでは済まないと思うのだが。 「そのれいむとまりさは、何処に?」 「あ、なんか死んじゃって……しょうがないから、今はそこに」 指差された向こうには、雪だるまがあった。 一見すれば何の変哲も無いだろうが、よく見てみると異常極まる。 目に当たる部分には、ゆっくりの眼球が嵌め込まれていた。 口を構成する部分は歯が。 胸元には、れいむ種のリボン。 そしてまりさ種の帽子を被っている。 ……中々どうして、独創的というか、猟奇的な代物だった。 おそらく、と言うよりは十中八九、れいむとまりさは雪だるまの『頭』と『胴』の中に埋め込まれているのだろう。 「えっと、じゃあ作り方教えますね。 まず適当に赤ゆっくりを一匹取り出す」 そう言いながら彼はひょいとバケツの中に手を伸ばす。 一匹の赤まりさの頬をひょいとつまみ、そのまま持ち上げた。 「ゆびぇえぇぇぇっ!!!にゃにしゅるんだじぇ、くしょじじぃ!! しゃっしゃとまりしゃしゃまからしょのきちゃないてをはにゃして、ゆっきゅりしにゃいでちんでにぇ!」 「あ、口悪いなコイツ。こういう口の悪い奴は、こうして」 空いた方の手で、地面の雪を掬う彼。 「こうやって」 「ゆ?にゃんにゃの?しにゅの?きちゃないかりゃやめちぇにぇ―――」 赤まりさを持ち替え、口の中に親指を突っ込んだ。 ぽきぽきぽき、と軽く歯の折れる音。 「ゆぎぃぃぃぃ!!いぢゃい!!まりちゃのきれいにゃはが――」 「こう!」 そのまま雪を詰め込んでいく。 歯の折れた赤まりさには、それを防ぐ手立ては無い。 「ぐびゅっ!ぶぃ゛っ!ばびぢゃ、ぶーぢゃぶーぢゃじぢゃぐっ、にゃぶぇっ!!」 どんどん膨らんでいく赤まりさ。 口の中に出来うる限りの雪を詰め込まれ、目が飛び出しかける。 あっという間にパンパンに膨れた饅頭が出来上がった。 「ぎゅぅゅぐっ……ぢぬ゛……ばびびゃ、ぢんじゃびゅ……」 「口の悪い奴はこんな感じで口ん中に雪詰めて下さい。 あとは雪に包むだけなんですけど、」 赤まりさを中心に、雪を握り込めていく少年。 圧迫されるのか、赤まりさはその度に苦しそうに声を上げる。 「………ぎゅぶっ!」 「あ、目ん玉飛び出しちゃった。 こんな感じで、強くしすぎると赤ゆっくり破裂しちゃいますんで、気をつけて下さい」 少年本人は、あまりそう気をつけていない風に告げた。 この程度の失敗は慣れているのだろう。 周りの子供達も、ゆっくりの悲鳴などなんら気にする所無く雪玉を作り始めている。 ゆっくりを生物としてではなく、そういう扱いをするものだと思っているのだろうか。 或いは、蛙に爆竹を云々と変わらないのかもしれない。 「ある程度雪玉にしたら、そこからは固めちゃっても大丈夫っぽいですから。 これでゆっくり玉の作り方はおしまい。おじさんもどうぞ。やってみて下さい」 「おじ……」 おじさんとは。俺はまだ一応、二十代なのだが。 それは兎も角。 「分かりました。やってみます」 「やべちぇええええぇぇぇ!!!れいみゅちゅめたいのや」 雪を被せる。 赤れいむの声は届かなくなった。 「おねがいしましゅうぅ!!まりしゃはおとなになってたくしゃんゆっきゅ」 雪を被せる。 赤まりさの声は聞こえなくなった。 「れーみゅはゆっきゅりしちゃいんだよ!?ばかにゃの!?ちぬ」 赤れいむの歯を全部折って、雪を詰められるだけ詰めて、雪を被せる。 最期に力を込めて握ると、中から「ぎゅぐぇ゛っ」とくぐもった悲鳴が漏れた。 「お…おにーしゃん…?やさちそうなおにーしゃんなら、まりちゃをにがちてく」 雪を被せる。 赤まりさの声は聞こえなくなった。 ・ ・ ・ ・ ・ 「そーれ!行くぞーっ!」 「ぷぎゅぇ゛っ!」 「やったな、このっ」 「びょっ!!」 「えびぞりハイジャンプ投法ーッ!」 「もっちょ、ゆっぎゅぢぃっ!!」 「なんのこっちは大回転投法ーッ!!」 「ゆぎゃあ゛あ゛ぁぁぁぼぇ゛っ!!」 「あたしも、なげる……」 「ゆぎぃっ!!……ゆっ!?いきちぇる!れいみゅ、いきちぇるよ!!ゆわーい!! れいみゅがゆっくちちてたからたしゅかったんだにぇ!!きゃわいくってごめんにぇ! きゃわいいれいみゅがおうちゃをうちゃってあげりゅよ!ゆ~ゅゆゅ~♪ ・・・ゆっ?なにじじぃ、かっちぇにれいみゅをみにゃぶぢゅぅっ!」 元気に遊ぶ少年少女を、雪の上に座りながら眺める。 やはり、子供は風の子だ。多少の寒さをものともせずに遊んでいる。 雪合戦は先程のように、このような場所でやると無関係の人に迷惑が掛かるかも知れない。 通常の場合も、ましてや中に餡子が入った雪玉はその『もしも』の時に多大な迷惑になりうる。 ――そう告げられたとき、彼ら5人は明らかに残念そうだった。 だから、こういう遊びは大人の監督下でやった方が良い。 幸い此処に大人が一人居るし、人が来るまでは遊んでいても大丈夫だろう。 ――そしてそう言われて喜ぶ5人の顔は、こちらまで嬉しくさせた。 普段なら彼らが遊ぶことに、苦渋の色を浮かべていた筈だ。 しかし何故か今は、そんな気持ちは起こらない。 やはり、自分も雪のお陰で心が浮かれていたのだ。 時々こちらに悪ふざけで飛んでくる雪玉もあったが、全て手で打ち払った。 雪の中に閉じ込められた赤ゆっくりの断末魔は、奇妙で可笑しさを覚える。 子供たちの笑い声。 赤ゆっくりの悲鳴。 穢れの無い雪の白。 命が零れ出た餡子の黒。 あまりにも似つかわしくない両者を一度に味わう、この遊び。 『赤ゆっくりを雪の中に入れて雪合戦』。 略して、ゆき合戦。………捻りが無さすぎる気もするが。 成程、意外と面白いのかもしれない。 おわり * * * * * 凍死って面白いんじゃね?第三段、のつもりだったんだけど何だこれ。 あと激しくネタ被りしてそうな気もする。陳腐だし。 でも知ったことではない。ゴミ箱に捨てるよりかはまだマシ。 あー雪降らないかなー。かまくらとか作りたいなー。 byテンタクルあき 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 2 散歩した春の日に ふたば系ゆっくりいじめ 3 ちょっと鴉が多い街のお話 ふたば系ゆっくりいじめ 22 伝説の超餡子戦士 ふたば系ゆっくりいじめ 38 とある野良ゆっくり達の話 ふたば系ゆっくりいじめ 46 散歩した5月の日に ふたば系ゆっくりいじめ 48 ゆうかにゃんと色々してみよう! ふたば系ゆっくりいじめ 128 れいむとまりさがだーい好き!! ふたば系ゆっくりいじめ 136 つむりはとってもゆっくりできるんだよ! ふたば系ゆっくりいじめ 324 散歩した秋の夜に ふたば系ゆっくりいじめ 372 新世代清掃工場 ふたば系ゆっくりいじめ 385 どうしてそう思ったの? ふたば系ゆっくりいじめ 386 最終地獄 ふたば系ゆっくりいじめ 635 散歩した冬の日に ふたば系ゆっくりいじめ 645 捨てゆっくりin 冬
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れいむへの愛情 23KB 虐待 制裁 愛情 実験 妊娠 お家宣言 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 現代 独自設定 16作目です。愛ゆえに人は苦しまねばならぬ! 数ヶ月前、ペットショップで子れいむを買ってきた。 買った日から子れいむは、すぐ自分になついてくれたので、今でもとてもかわいがっている。 言うことも素直に聞いてくれるので、とてもしつけがしやすく、 子れいむのころに、一度も体罰を与えたことが無いのが自慢だ。 子れいむは生まれつき賢かったようで、少し勉強させると簡単に銀バッジを取ってしまった。 れいむが大きくなってからは、一匹で自由に外出させるようにしている。 家の周りは車通りが少なく、銀バッジもちゃんと頭につけているので、 外出させても特に問題ないだろうと考えたからだ。 れいむは最初、1日に1回、時間にして30分ほど散歩を楽しんでいたようだ。 だが、つい1週間ほど前から、日に1度の散歩が2度3度に、 散歩の時間も1時間になり2時間になり、あきらかに外出時間が増えてきた。 散歩が長い理由をれいむに聞くのだが、 「れいむはゆっくりさんぽしたいんだよ!!」 といってはぐらかされる。 散歩中のれいむを尾行しようとも思ったが、 れいむが散歩している間は、その行動に一切関与しないという、 れいむのプライバシーを守る約束をしているので、尾行をするわけにはいかない。 その約束をするかわりに、家の中でお行儀良くするようにいいつけてあるのだが、れいむはそのいいつけをちゃんと守っている。 だから余計に、自分のほうから約束を破るわけにもいかないのだ。 れいむの大好物なあまあまをちらつかせて、散歩が長い理由を聞き出そうとするのだが、 れいむの口は堅く「なんにもないんだよ!!!」としか言わない。 しかし、散歩中に何かあるのは間違いない。 それが何なのか・・・・最近、とても気になっているのだ。 れいむとの約束は、家の中でお行儀良くすること以外に、 野良ゆっくりと勝手に子供を作ってはいけない、という約束もしている。 約束を破るようなら、それなりの痛いおしおきをすると告げてあるので、 それがある程度の抑止力にはなっていると思う。 でも所詮はゆっくり、約束よりも自分の幸せをとる可能性は十分にある。 だからこそ、今れいむのことをとても心配しているのだ。 ある日のこと、外出したれいむが家に帰ってこなかった。 家の近くを簡単に探すのだが、れいむはどこにも見当たらない。 暗くなって家に帰れなくなったのだろうか、 でもそれなら明日にはきっと帰ってくるだろうと思い、その日はおとなしく家で待つことにした。 しかし、翌日になってもれいむは帰って来なかった。 さすがに、れいむの身に何かあったのだと思い、本格的に周囲を捜索し始める。 だが、いくら探してもれいむは見つからなかった。 れいむが失踪してから5日が経った。 その間にもいろいろな場所を探したのだが、結局れいむは見つからない。 どこかで事故に巻き込まれたか、または誰かに連れ去られてしまったか。 れいむのことは半分あきらめていた。 だがその日の夕方、何事もなかったかのようにれいむが家に帰ってきたのだ。 「おにいさん、えささんをちょうだいね!たくさんでいいよ!!!」 開口一番にれいむはこう言った。 積もり積もった感情が爆発し、れいむに対していろいろ言おうと思ったのだが、その前に、れいむに対して違和感を覚える。 れいむの頭に、一本の細い蔦が生えていたのだ。 蔦には4つの小さな実ゆっくりがついていて、それぞれ体の基礎ができるまでに成長している。 実ゆっくりはときどき体をプルっと動かし、嬉しそうな表情をする。 生まれ落ちた後の動きを練習しているのだろうか。 数日もすれば、この実ゆっくりは赤ゆっくりとして誕生するだろう。 頭に蔦の生えたれいむの横には、なぜか得意げな顔のまりさがいた。 その身なりから恐らく、野良ゆっくりだと思われる。 この5日間、れいむが何をしていたのか一瞬で分かってしまった。 「れいむ。一つ聞くが、横にいるのは野良まりさだよな?」 「ゆっ、れいむはまりさといっしょになったんだよ!!」 「ここはとてもゆっくりできそうなおうちなんだぜ。れいむはすごいんだぜ!!」 「ゆへへ、そんなことないよ~~~だってここはまりさのおうちでもあるんだよ!!おちびちゃんたちもここでゆっくりそだてられるんだよ!!!」 「なあれいむ、俺との約束を覚えているか?野良ゆっくりと勝手に子供を作っちゃいけないっていう約束を。」 「ゆ!!おちびちゃんはとてもゆっくりできるんだよ!!だかられいむはおちびちゃんをつくったんだよ!!! ゆっくりできるまりさとおちびちゃんは、ここでれいむといっしょにゆっくりしないとだめなんだよ!!! だからおにいさんはすこしだまっててね!!!いうことをきいてくれないおにいさんなんかきらいだよ!!!」 「そうなんだぜ!まりさはれいむといっしょになったから、れいむのおうちにすまないといけないんだぜ!!!」 れいむとまりさの言い分は、まるで論法が成り立っていない。 それに、子供を作っちゃいけない約束はどうした、という俺の質問にまるで答えていない。 いや広い意味では答えているが、俺の聞きたい答えになっていない。 なんだこれ 5日間、必死でれいむを探し続けてた俺が馬鹿みたいじゃないか。 肝心のれいむからは、家を出ていて心配かけたという言葉もない、 子供を作って良いかということわりもない、 まして野良まりさと一緒になって良いかという話もないし、 まりさをここに住まわせても良いかという話もない。 おまけに俺に対して黙れという。 ふざけるな 「そうか、なら仕方ない。お前らここからとっとと出てけ。出て行かないなら無理にでも追い出す。」 「ゆゆ!!おにいさんはかってなこといわないでね!!ここはれいむのおうちなんだよ!!!おにいさんこそでていってね!!」 「そうなんだぜ!!れいむをおいだそうとするゲスなにんげんはとっととでていくんだぜ!!!」 なるほどね、それがれいむの本心か。 れいむはもともと、俺のことを飼い主だとは思っておらず、 ただ、自分の家に住む優しい同居人くらいにしか思ってなかったわけだ。 了解了解、それなら話は早い。 こっちはそれなりの対応をするだけだ。 だが、このままでは腹の虫がおさまらない。 「なあれいむ、お前はどれだけまりさのことが好きなんだ?」 「ゆ?れいむはまりさのことがとってもだいすきなんだよ!!まりさはとてもゆっくりしてるんだよ!!」 「そうか、それだけ好きならまりさのことを何でも知ってるんだよな?」 「そうだよ!!まりさのことならなんでもわかるんだよ!!!」 「そうなんだぜ!!まりさもれいむのことならなんでもわかるんだぜ!!」 「相思相愛ってわけか、分かった。そこでだ、そんな仲の良い二匹のためにある実験をしたいんだ。 この実験で、二匹の愛が確かなものだと分かったら、俺はここから出て行ってやるよ。」 「おにいさんはとっととでていってね!!!れいむはじっけんさんをはやくしたいんだよ!!!」 「分かった、じゃあここで待ってろ。俺はまりさと少し話をしてくるから。」 そう言うと野良まりさを乱暴に持ち上げ、奥の部屋へ連れて行く。 「ゲスなにんげんはまりさをらんぼうにあつかっちゃいけないんだぜ!!!」 「まりさといったな。まりさはどこに住んでたんだ?」 「ゆ!まりさはこうえんにすんでたんだぜ!!こうえんのだん・・」 「まりさの好物はなんだ?」 「ゆ?まりさはあまあまさんがだいすきなんだぜ!!!あまあまをくれるのぜ?」 「れいむと初めて会ったのはどこだ?」 「ゆ、きれいなおはなさんがいっぱいあるところであったんだぜ!!あのときの・・」 「まりさの得意なことは?」 まりさの素性を肝心なところだけ聞く。 まりさのお気に入りの場所や、得意なこと、大事な宝物といった内容も聞いた。 それを簡単にメモする。 5分ほどまりさと話をした。 れいむのいる部屋にまりさを連れて戻る。 れいむはソファーの上でのん気に眠っているようだ。 れいむの頬を強くつねって起こしてやる。れいむに対して行った初めての体罰だ。 「ゆぃ!いだいよ゛!!!おにいさんはそんならんぼうなことしないんだよ!!どうじでれいむをゆっくりさせてくれないの!?」 「さてこれから、れいむがどのくらいまりさのことを好きなのか試させてもらう。」 用意した透明な水槽へまりさを入れる。 「ここからはやくだすんだぜ!!ここはせまくてゆっくりできないんだぜ!!!」 「まりさをはやくだしてあげてね!!これじゃまりさがゆっくりできないよ!!」 「すぐにゆっくりできるさ。さて実験の説明をしよう。 これかられいむに10問ほど、まりさに関する質問をする。 それに答えることで、れいむがまりさのことをどれだけ理解しているのかが分かる。 10問中、5問以上正解できればここをお前たちの家にしてもいい。それが今回の賞品だ。 ただし1問ずつ間違えるごとに、お前たちに厳しいおしおきをする。 それぐらいの罰が無いと、れいむがまりさのことをどれくらい本気で想っているのか分からないからな。」 「なんでもきいてね!!れいむはまりさのことならなんでもわかるよ!!」 「れいむはたのもしいんだぜ!!まりさたちのあいはしんじつなんだぜ!!!」 「オッケー、なら1問目だ。まりさの大好きな食べ物は?」 「まりさはあ・・・・・」 そこで水槽にふたをする。まりさが答えては意味がない。 ふたをすることで、まりさの声が聞こえなくなった。 「まりさはあまあまさんがだいすきなんだよ!!」 「正解だ。」 こうして実験が始まった。 まりさを閉じ込めている水槽のふたを外してやる。 すると、中から元気なまりさの声が聞こえてきた。 「ここからはやくだすんだぜ!!!」 「やったよまりさ!れいむはせいかいしたよ!!れいむはまりさのことならなんでもわかるんだよ!!!」 「れいむはえらいんだぜ!!これでまりさはれいむたちといっしょにこのおうちにすめるんだぜ!!!」 それ以上の会話をさせないよう、すぐに水槽のふたを閉める。 「さて2問目だ。まりさはどこでれいむと出合った?」 「ゆ!おはなさんがいっぱいあるところだよ!!」 「正解だ。」 水槽のふたを開けてやる。 れいむとまりさはお互いを褒めあっている。 そして、まりさがどこに住んでいたかという3問目の質問にも、れいむは簡単に正解する。 「さて4問目だ。まりさのお気に入りの場所は?」 「まりさのゆっくりできるばしょは・・・・きのかげなんだよ!!!」 「不正解だ。」 「どぼぢでぞんな゛ごどい゛う゛の゛ぉおおおおおおおお!!!」 水槽のふたを開ける。そして同じ質問をまりさにしてみる。 「まりさはおはなさんがあるところがすきなんだぜ!!れいむはとうぜんしってるんだぜ!!!」 「ゆ?まりさはきのかげがすきなんじゃないの??」 「ゆ??まりさはおはなさんのあるところが・・・」 そこでふたをする。 「さて、不正解だったからおしおきをしてやらないとな。」 「どう゛じで!!!まりさはきのかげがすきなんだよ!!!」 「でも、まりさは花のある場所が好きだって言ったしな。さて執行だ。」 「ゆうう!!まりさはきのかげがすきなんだよ!!!!!!」 れいむは、自分が正しいと何度も訴える。だが不正解はくつがえらない。 じたばたするれいむのほうに手を近づける。 「ゆ!!!れいむはいたいいたいさんはいやなんだよ!!ゆっくりできないんだよ!!」 「安心しろ、れいむは痛くない。」 プチっという音が2回ほど聞こえた。 れいむは目をつぶっていたが、痛みが来ないので拍子抜けしたようだ。 「ゆゆ!!ぜんぜんいたくないんだよ!!おにいさんはれいむにきがいをくわえられないんだよ!!!」 「そうかな?まりさを見てみろ。」 れいむはまりさの方をぱっと向く。 水槽の中のまりさは涙を流し、何か叫んでいるようだ。 「ゆゆ!まりさどうしたの???おにいさんになにかいたいいたいことされたの??」 水槽の中のまりさが何を言っているのか、れいむには分からないようだ。 「どうした?まりさのことなら何でも分かるんじゃなかったのか?5問目だ。まりさが今、何を言ってるか分かるか?」 「まりさはきっとおにいさんにいたいいたいことをされたんだよ!!そんなおにいさんはせいっさいするよ!!!」 「残念、それは違う。さて間違えたお仕置きだ、続けて執行する。」 ニチっ ピチっ 「どぼぢでぇえええ!!!まりさにきいてみないとわからないんだよ!!」 「あれ、まりさのことならなんでも分かるって言ってたのにそれかよ・・・はは、仕方ないな。ふたを開けてやるよ。」 水槽のふたをあける。すると、まりさの悲痛な叫び声が聞こえてきた。 「ゆぁああああ!!!まりさたちのおちびちゃんがぁあああああああ!!!」 「ゆゆ?おちびちゃんがどうしたのまりさ?」 れいむは自分の頭についている蔦を見る。 そこには、足を潰されてのたうちまわる実ゆっくりが4匹くっついていた。 4匹は体をブルブルと震わせ、その顔は苦悶の表情に満ちている。 「ゆぁああああれいむのおちびちゃんがぁああああああああ!!!!」 「やっとまりさの言いたいことが分かったか。れいむは案外、鈍いんだな。」 これからのゆん生に希望を持ち、誕生の瞬間を胎動しながら今か今かと待ち続けていた実ゆっくりだったが、既にその足が失われている。 無事に生まれてきたとしても、歩くことはできないだろう。 実ゆっくりたちは何も悪いことをしていない。 普通のゆっくりならばその理不尽さに憤慨し、加害者を罵倒するだろう。 しかし、実ゆっくりたちはどんなに苦痛を感じていても、泣き叫ぶことができない。 生まれ落ちるまで、実ゆっくりはしゃべることができないのだ。 実ゆっくりたちが、どれほどの苦痛を感じているのかは分からない。 だが、その苦々しい表情を見る限り、とても苦しそうだということは何となく分かる。 れいむが事態を把握したのを確認してから、まりさの入った水槽のふたを閉める。 れいむとまりさは、歯ぎしりをして悔しさをあらわにしている。 そんなれいむの頭にポンポンと手をあててやる。 「れいむは所詮、まりさのことなんか何も分かってなかったってわけだ。」 「おにいさんはどう゛じでごんなごどするの????これじゃおちびちゃんはゆっくりできないんだよぉ!!!!」 「うん、そうだな。足が潰れた子供はゆっくりできないな。だが俺は約束どおり、答えを間違えたお前におしおきをしただけだ。」 「ぞん゛な゛ぁあああああ!!おにいさんはやくそくをやぶったんだよ!!れいむのおちびちゃんをゆっくりさせてくれるやくそくなんだよ!!!」 「おい、俺がいつそんなこと言った?俺はそんなこと言った覚えはないぞ。」 「ゆ!うそはダメだよ!!!おにいさんにはれいむのおちびちゃんをみせてあげたんだよ!! だからおにいさんはおちびちゃんたちをゆっくりさせてくれることになったんだよ!!!」 「そうか。俺に実ゆっくりを見せたから、俺は子作りに協力する必要があると考えてるわけだな・・・・ ふざけるな。それがまかり通るなら、この先は言ったもの勝ちになる。それでいいんだな?よし。 れいむは自分の頭についている子供に危害を加えちゃいけないとは言ってないよな?だから俺は実ゆっくりの足を潰した。」 「ゆ!!どうちて・・・」 「れいむはこの5日間、家に帰って来なかった。つまり、この家から出て行ったということだ。だからここはお前の家ではない。」 「どぼぢでぞんな゛ごど・・・」 「れいむは毎日三食の餌が欲しいとは言ってないよな?ならこれからは餌をやらない。 まりさと一緒になりたいと俺に言ってないよな?なら一緒にさせない。 自分たちを痛めつけちゃいけないと言ってないよな?ならこれからお前らを痛めつける。」 「れいむのはなしをきいてね!!!」 「いや、聞かない。5日ぶりに家に帰ってきたとき、お前は俺の話を全く聞かなかった。 それどころか自分の都合のいいように解釈して、ここをまりさと自分だけの家にしようとした。」 「ゆ!れいむがかんがえたことはぜんぶそのとおりになるんだよ!! だかられいむがかんがえたことには、おにいさんもしたがわないといけないんだよ!! れいむはおうちでおぎょうぎよくするやくそくをまもってるから おにいさんもれいむにかんよしちゃいけないっていうやくそくをまもらないといけないんだよ!!!」 「そこだ。れいむの根本的な間違いはそこだ。 関与についての考え方も違うが、まず、お前は別の約束を破っている。 子供を勝手に作ってはいけないという約束だ。それを棚にあげたら、お前の話は全く説得力がなくなる。 それ以前に、れいむが思っていることが現実にその通りになる・・・・か。 ・・・んなわけないだろ。俺は俺の考えを持っている。まりさはまりさの考えを持っている。 れいむはれいむの考えを持っている。自分が考えていることは言葉で相手に伝えないと分からない。 例えそれが相手に伝わったとしても、それぞれが自分の考えを持っているんだから、 れいむの望む通りに相手が動くとは限らない。そうだろ?」 「れいむはまりさのかんがえてることならなんでもわかるんだよ!!!れいむがかんがえてることは おにいさんもしたがわないといけないんだよ!!!いいかげんなことをいうおにいさんはゲスだよ!!!」 「そうか、そう言い張るなら実験を続行だ。今、まりさが考えていることを当ててみるといい。それが6問目だ。」 水槽の中のまりさは不思議そうな目をしている。 「わかったんだよ!!まりさはせまいせまいっていってるんだよ!!!そうきこえたんだよ!!!」 「そうか、じゃあふたを開けてみるぞ。」 ふたを開けるとまりさの声が聞こえてくる。 「れいむはどこにいったんだぜ!?にんげんはれいむをかくしちゃだめなんだぜ!!とっととれいむをみせるんだぜ!!!」 「ゆ?れいむはここにいるよ!!まりさはおめめがみえないの?」 「ゆゆ?しらないゆっくりがいるんだぜ。しらないゆっくりはとっととどこかいくんだぜ!!!」 「どぼぢでぞんな゛ごどい゛う゛のぉおおおおおおおお!!!!れいむはれいむだよ!!!」 「ゆ?なにいってるんだぜ。れいむはきれいなおかざ・・・・」 そこでふたを閉める。 「これでまりさの考えていることが分かっただろ。まりさはお前のことを知らないんだとさ。」 「そんなことないんだよ!!まりさはそんなこといわないんだよ!!!」 「あれはまさしくまりさだ。ただ、お前のことが分からないようだがな。さて3回目のおしおきだ、次はこの飾りを破るとするか。」 「・・・・ゆゆ!それはれいむのおかざりさん!!どうじでおにいさんがもってるの???」 「知らないよ、なんでだろうね。れいむの超能力で当ててみたらどうだ?」 手に持ったお飾りをビリビリと破く。これで二度と、まりさはれいむのことを認識できないだろう。 「ゆぁあああああ!!!れいむのおかざりさんがぁああああああ!!!!」 「さて7問目。今まりさは何を考えているか。」 「ゆうう!!!まりさはれいむのことをかわいそうだとおもってるんだよ!!!」 「そうかそうか、それは涙ぐましい話だ。それではふたを開けるとするか」 サッ 「とっととここからだすんだぜ!!それとへんなゆっくりはとっとときえるんだぜ!!!ここはれいむとまりさのおうちなんだぜ!!!」 「ゆっ、まりさどうしたの!?」 「きやすくはなしかけるなだぜ!!まりさとおはなししていいのはれいむだけなんだぜ!!!」 「れいむはれいむだよ!!まりさはおめめがみえないの??」 「さて7問目も不正解だったな。それでは遠慮なく・・・」 「ゆ?なにを・・ゆゆ!れいむのおちびちゃんをつれていかないでね!!」 れいむの頭についている蔦を引きちぎり、まりさのいる水槽の中に入れてやる。 蔦には足のつぶれた実ゆっくりが4匹ついている。 「ゆ!へんなゆっくりのこどもだよ!!ゆっくりできないこどもはとっととしんでいってね!!!」 プチっ プチっ プチっ プチっ 「あああああ!!!れいむのおちびちゃんがぁああああああああああああ!!!!」 「いいきみなんだぜ!!れいむとまりさのおうちにかってにはいってくるからなんだぜ!!!」 「どうしてまりさはれいむのおちびちゃんをころしたのぉおおおおおお!!!!」 そこでふたを閉める。 「8問目。まりさはなんでれいむの子供を殺したのでしょうか?」 「そんなのわからないんだよぉおおおお!!!」 「ハイ残念、これで5問連続で不正解だ。残りの2問を正解しないと、ここをお前たちの家にすることができないぞ。」 「どうぢでまりさはおチビちゃんをころしたのぉおおおおおお!!!!」 「まりさのことなら何でも分かるんじゃなかったのか?まぁいいや、おしおきだ。」 水槽の前に立ちはだかり、れいむからまりさの姿が見えなくなるようにする。 それから水槽のふたを取り、中にいるまりさの帽子を奪う。 「ゆ!!まりさのおぼうしをかえすんだぜ!!!」 それから水槽の中のまりさとれいむを対面させてやる。 「ゆゆ?しらないまりさがいるよ!ここはれいむとまりさのおうちだよ!!しらないまりさはとっととここからでていってね!!!」 「ゆ!ここはれいむとまりさのおうちなんだぜ!!!しらないれいむこそとっととでていくんだぜ!!!」 「さて9問目だ。今、れいむの好きなまりさはどこで何を考えているでしょう?」 「ゆ!まりさはここにいるんだぜ!!」 「ゆ!まりさはここにいないんだよ!!」 「不正解。6問不正解だったから、次の質問に正解しても賞品はあげられないな。そしておしおきだ。」 おしおきとして、まりさの入っている水槽にれいむを入れる。 途端に、お飾りのついていない2匹はお互いを警戒し始めた。 「10問目、まりさに関する最後の質問だ。まりさは本当にれいむを愛していたか?」 「ゆ!まりさはれいむのことがすきなんだよ!!!だからはやくまりさをみせてほしいんだよ!!!」 「まりさはれいむのことがだいすきなんだぜ!!!だからはやくれいむをみせるんだぜ!!!」 「正解だ。まりさは本当にれいむのことを愛してたんだな。」 「とうぜんなんだぜ!!だかられいむをはやくみせるんだぜ!!それとゆっくりできないれいむはとっととしんでね!!」 「ゆ!!ゆっくりできないまりさこそとっととしんでね!!!」 2匹が水槽の中で罵り合い、殺し合いを始める。 れいむとまりさの力は互角らしく、両者一歩も譲らない。 2匹はしばらく水槽の中で争いを続ける。 一瞬、まりさが油断した。そこへ上かられいむがのしかかった。 あとは一方的にれいむが攻撃を繰り返す。 れいむの一方的な攻撃によって、 まりさは餡子の塊になってしまったようだ。 そこで、まりさだった塊に帽子をかぶせてやる。 「ゆうっ、ゆうっ、ゆゆ!!まりさどう゛ぢで・・・・ゆうう、おにいさんがまりさをころしたんだね!!れいむはぜったいにゆるさないよ!!」 「なるほどなるほど、確かに俺が殺したようなもんだな。でも実際はお前が手を下した。所詮、お前たちの愛はその程度だったということだ。」 「そんなことないよ!!れいむはまりさのことがだいすきだったんだよ!!!どうじてまりさをころしたの????」 「お前のことを愛していて、そして途中でお前を嫌いになった。気持ちが中途半端だったから、お前の好きなまりさを殺したのさ。」 「そんなことないよ!!まりさはさいごまでれいむのことがだいすきだったんだよ!!!」 「いや、まりさの心境じゃない。それは俺の心境だ。 11問目。今、俺が何を考えているか当てられるものなら当ててみろ。」 おにいさんの目に涙が浮かんでいる。 おにいさんはれいむのことを愛でていたのだ。 家の中でお行儀よくしてくれて、自分になついてくれるれいむに対して深い愛情を注いでいた。 のびのびと育てるために、れいむを自由に外出させ、そのかわり野良ゆっくりと子供を作ってはいけないという約束をした。 しかしその約束を反故にされ、おまけにおにいさんのことが嫌いだとれいむに言われた。 おにいさんのショックは大きい。 れいむは、そんなおにいさんの気持ちを全く察していないようだ。 ただ自分勝手に、自分に都合のいいように物事を考えている。 飼い始めてからずっと、おにいさんとれいむの心がすれ違っていたのだ。 「ゆ!まりさをころしたおにいさんはだいきらいなんだよ!!!とっととしんでね!!!」 「そうか残念だ。俺の気持ちが分からないれいむには、おしおきをしなければならないな。」 ギュッ 「いちゃいよぉおおおお!!!れいむのほっぺをつねらないでね!!!」 メチメチ 「ゆぎゃっ、ゆぎゃぁああああああ!!!」 ブチブチブチ 「しんじゃうよぉおおおお!!!おにいさんやめてね!!!!」 クチャッ、クチャッ 「ゆああああぁぁれいむのあんこがぁあああああ!!ゆっ、ゆ゛ぎゃっ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛ぎいいい、ゆ゛っ、」 「苦しいか??れいむ、苦しいか????だがお前に裏切られた俺の心は、もっともっと苦しいんだ。」 れいむはまりさのことなら何でも分かると言っていたが、本当はまりさのことを何も分かっていなかった。 お飾りの無くなったまりさを認識することさえもできなかった。 まりさはれいむのことが大好きだったが、お飾りの無いれいむが大嫌いになった。 れいむとの間にできた大事な大事な子供も、いとも簡単に殺してしまった。 そして俺はれいむのことが大好きだったが、最後にはれいむを痛めつけてしまった。 家を離れている間、れいむは心のお飾りをどこかに置き忘れてきたのかもしれない。 俺は、心のお飾りを無くして帰ってきたれいむを、いつものれいむだと認識できなくなってしまったようだ。 本当の愛ならば、例えお飾りが無くても、話し方や仕草で愛するものを認識できるはずである。 お飾りが無くなると、途端に相手を認識できなくなってしまう程度の愛、それは上っ面の愛情でしかないのだ。 みんなそれぞれ愛を持って、大好きな相手と接していた。 だがそれは結局のところ、 それなりの愛だったというわけだ。 いや・・・・・・ちがう よく考えたら、好きという言葉と愛という言葉はイコールではない。 とうとう分かった。愛が何なのか分かった。 倫理的な良し悪しに関わらず、 愛とは、お互いの気持ちが一致することだ。 「ゆ゛っ・・・・ゆ゛っ・・・・・いちゃい・・・ゆ゛っ・・・・・ゆ゛っぐりぢだいよ゛・・・・・・」 れいむが苦しんでいるのを理解しながら、餡子の中身をぐちゅぐちゅと掻き回し、れいむを思う存分苦しませる。 「れいむ、大嫌いだよ。」 「ゆ゛っ・・・お・にい・さ・ん・・・き・らい・だ・よ・・・」 俺とれいむの心が初めて一つになる。 相手を殺したいほど、 俺はれいむのことを大嫌いになり、 れいむは俺のことを大嫌いになった。 これでやっと、れいむとの間にできていた溝が埋まった。 その瞬間、心の苦しみから解放された。 「お・・・に・い・・さん・・は・・・し・・・・・・ね・・・」 「それは叶わない、しぬのはお前だ。あの世で反省してくるんだ。」 「ゆ゛っ・・・・・・・・」 れいむの表情が急に変わった。 「お・ち・・び・・・ちゃ・・ん・・・ま・・・り・・・さ・・・・ご・め・・ん・・・・ね・・・ お・・・に・・い・さ・・・ん・・・ご・・・め・・ん・・・な・・・さ・・・い・・・・・・・」 「れいむ、最期に謝るのは間違ってるぞ。れいむの謝罪は、今の俺にはただの命乞いにしか聞こえない・・・」 れいむは返事をしない。 部屋の中には、5つのゆっくりの死骸が残った。そして、 オレンジージュースをかけられて生き残ったれいむが、今後もおにいさんに飼われることになった。 それからおにいさんは毎日、死なない程度にれいむを虐待している。 れいむもおにいさんに対して毎日、暴言を吐き続けている。 おにいさんは、れいむのことをとても愛でているのだ 鉄籠あき 過去の作品 anko1922 鉄籠 anko1941 野良まりさたちの行く末 anko1951 ゆっくりの住む牧場 anko1968 正義感 anko1973 あんころ草 anko1993 50% anko2013 カウンセリング anko2024 カレーの作り方 anko2047 露店のゆっくり anko2059 ゆっくりおばさんの船旅 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